「…遼ちゃん?」



私は佐助の声で我にかえった。




『あっ…うん、何?』

「遼ちゃんのキモチは?」


『へっ?』

「遼ちゃんの、キモチ」



なんだか佐助に心を見透かされているようだ…と思った。





『私は…まだわからない。元就に会ってみないと…』


「…ん、そっか」






…って、ん?



『元就に会うのは良いんだけど、どうやってあの材料を渡すの?』

「あっ」
「…あ゛」
「む、」



3人の声が重なった。





『えっ…えぇ!?そうだよ!!私…なっ何も元就に聞いてない!!』

「え!?あの人智将でしょ!?先を見据えてなかったの!?」

「はっ…!!肝心なところで馬鹿だな、アイツは」



佐助と元親が口々に元就のことを馬鹿にした。



…その瞬間、






「むっ…何だ?やけに暗くなったな」



月明かりが消えた。

雲が月を隠すというだけでは、こんなにも暗くはならない。



まるで…日食のような――




『なっななな…何!?ちょおっ…こわ…っ!!』



私は狼狽えた。
だって…っおおっお化け屋敷とか無理だし!!




「大丈夫だ…な?」



元親が優しく抱きしめてくれた。

佐助は武器を構え、長政さまは私と元親を守るように前に立っている。









“材料の心配などいらぬ”



『…っえ?』






その瞬間、


一筋の光が──




『きゃあっ!?』



それは雷よりも眩しい光で


太陽の光にも似たものだった。









『うっ…』



私が目をあけると、そこには私を守ろうとしてくれた3人が倒れていた。





『…な、んで?』


「心配は要らぬ。気を失っているだけだ」









不意に聞こえた声。


それはもうすぐ会う筈だった…







『もと…な、り?』


何で?と聞く私よりも早く元就は答えていた。




「我の方は準備が出来たのでな…時間を丁度もて余していたところだ」

『いや、え?だからな…』

「我が直々に材料を引き取りに来てやったのだ。感謝せよ」

『別に頼んでな…ひぃっ!!!!!!』




元就の輪刀が、私の頬を、そして元親の頭を掠めた。



『ああっあああ危ないじゃない!私はともかく、元親に当たったらどうするの!?』

「所詮その程度の男だったということだ」

『鬼!外道!鬼畜!鉄仮面!!』

「何とでも言うが良い」




私の悪口にも怯まず、涼しい顔をしている元就。


…ある意味鉄のハートだよね。




「…何をしておる。我には時間が無いのだ。早く材料を出さぬか」



元就が不機嫌そうな顔で見てきた。




『あ、うん!じゃあ適当に座って待ってて』



私は台所へ向かった。












『お待たせ!!持って来…』

「遅いぞ、小娘」




いや、うん。
数分前の私が悪かった。
だから元就、










『元親の上に座るのだけはやめようか』

「適当に座って待ってろと言ったのは貴様ではないか」



元就は元親の見事な腹筋の上に腰かけていた。

でも元親は全く苦しそうではない。





『…ちゃんと食べてる?元就』

「阿呆か貴様は。我は毛利の男児ぞ」




うん、ここは元親の腹筋が凄いってことにしておこうか。



『あぁ、それでー…はい。“コーラ”と“時計”と“色鉛筆”と“魚の頭”だよ』



私は全てが入った袋を手渡した。



「…うむ、良くやった。褒めて使わすぞ」



あ、あくまでも上から目線なんですね。



「では我は戻る」

『あ、ちょっと待って』

「何だ?」



『聞いて欲しい話があって…』



そう言うと、元就は明らかに嫌そうな顔をした。





『ちょっ…そんなに分かりやすそうに嫌そうな顔しないでよ!!』



私が少し怒ったような口調で言うと、元就はフッ…と笑った。



「冗談だ。…それで?我に聞いてほしい話とは何だ」



おぉ…!!
あの鉄仮面が優しい!!

私は密かに心の中で感動してから、話し始めた。



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