『…あ、』 「あ?どうした、遼」 (もう…時間がないんだね) こんばんは。 もしくはおはようございます、こんにちは。 今日は月見酒です!! 満月じゃないとか関係ないですよ! 「…遼ちゃん?どこ向いてるの?」 『あ、ごめんごめん』 まぁ挨拶は終わりにして、私は佐助達の方を向いた。 「んでよ、遼。あって何だ?」 元親がお酒をあおりながら聞いてきた。 『いや、今日も月が綺麗だなと思ったんだけど…もう少しで満月だな、って』 「そう言えば、もうすぐだな」 長政さまが言った。 「そう言えば満月って…」 『私が、元就と会う日です』 「…別れに近づくのか」 元親がうつむきながら言った。 『…なっ何でそんな顔するの?元親達は向こうに戻りたいんでしょ…?』 「…確かに市や兵達のこと…それに国のことは気になる。だが、」 長政さまは私の頭に優しく手を置いた。 「私は…お前がちゃんと明るく生活していけるのか心配なのだ」 『長政さ、ま』 「出来ることなら市にお前を会わせたい。私の国も見せてやりたい」 「あぁ、俺も野郎共とか俺が作ったカラクリとか瀬戸内の海とかよぉ…見せてやりてぇな」 「俺様も――お館様に紹介したいなー」 みんなは、ぼんやりと月を見ながら言った。 (…でも、私は?) みんなは私を向こうに連れて行きたい、っていう意志があるみたいだけど…私自信は? 向こうの世界には興味がある。けど、行ったところで私の居場所は? (儂の城に来るといい。) 政宗は、そう言った。 でも行ったところで戦い、戦いの連続で居場所どころか、足手まといになって私の存在さえなくなってしまうのでは…? 皮肉にも私はそんなことを考えてしまう。 そんなことになるなら、行きたくない。 行きたいという思いと、 行きたくないという思い。 2つが交差する。 |