「ただいまー…ってあれ?遼ちゃん、もう起きたの?」


買い物組が帰ってきた。



『あ、お帰りーみんな』

「…随分と仲良いね」



今私は、政宗と物凄く密着して座っている。
佐助はそんな私達を見て苦笑いした。



『え、そう?』

「そう?って…そんなにくっついてたら誰でも思うよ?ねぇ、旦那」



佐助は後ろで大量の荷物を持っていた幸村に話をふった。



「はっ破廉恥でござるぞ!遼どの、政宗どのっ!!」



買い物袋を腕に提げたまま、両手で真っ赤な顔を必死覆う幸村。



『幸村、指の間開いてるから隠してる意味無いと思うんだけど…』

「はっ!?ふっ不覚でござる!!」



いや、不覚もくそもないと思うんだけど…。

やっぱり幸村ってただのバカ?




「遼どの、今某に失礼なことを考えなかったでござるか?」

『ひぃっ…!!なっなななっ何も考えてなんか…!!!!』

「一瞬、堅っ苦しい方の俺だと思って油断したのであろう?油断はせぬ方が良いぞ」

『…以後気をつけます』



不覚なのはこっちだった…!!
そういえば今日は黒幸村の方の日だった!!

朝酷い目に合ったのに忘れてるとは…何だか情けないな。


幸村は、佐助に呼ばれて台所へと走って行った。




「…あの幸村は、いつもの幸村とは違うのじゃな」

『うん…大変だよ?いろんな意味で』



政宗の顔には、ひきつった笑みがうかんでいた。





「あ!遼どの、政宗どの!!」

『真田さん!お帰りなさい』

「なんじゃ、幸村か」



無双の方の幸村が現れた。




「ただいま戻りました」

『買い物に行ってたの?』

「はい!佐助どのと小十郎どのが夕食の食材が足りないから、と」

『…あれ?政宗は何で残ってたの?』

「…ワシはここの留守を頼まれたのじゃ」



政宗は不機嫌そうに言う。



「まぁまぁ政宗どの。遼どのと仲が深められたのですから、良いではありませんか」

「そっそれとこれとは違うわっ!馬鹿め!!」




爽やかーな笑顔で話しかける真田さんと、真っ赤になりながら言い返す政宗は、なんだか仲の良い友達に見えた。






「…ところで政宗どの」

「な、何じゃ」




すると真田さんは、政宗の肩を掴んで言った。







「そろそろ遼どのを離していただけませんか…?」

「何を言ってお…って痛いわ!馬鹿め!!」




心なしか掴まれている肩がみしみしと音をたてている気がする。




『さっささ真田さん?』

「どうかしましたか?」

『何でもないです…』




幸村の爽やか且つ黒い笑顔に気圧された。




「…さぁ、政宗どの。私について来て下さい」

「ついて来いと言うても、貴様が引きずっておるではないか!!!というか、離せ!!馬鹿めがっ!!」



言い争いながら、政宗は真田さんに引きずられて奥の部屋へと消えて行った。








「む…遼!一人か?」

『あ、兼続』



兼続が寄って(?)来た。




『お帰りー』

「すまなかったな、勝手に出掛けて」

『全然気にしてないから、大丈夫だよ』



「ところで…幸村と山犬を見なかったか?」

『…あぁ、さっきまでここに居たんだけど、政宗が真田さんに引きずられて行っちゃったよ』

「幸村と山犬は、そんなに仲が良かったのか!」

『………』




それは違うと思うんだけどなー?

どうやら兼続は勘違いをしているようだ。




『ちょっ…兼続。仲が良いわけじゃないと思…「そうだったのか…!むっ、だが私と三成と義で結ばれている幸村が、山犬風情と仲が良いのは…」



私の言葉を最後まで聞かないまま、独り言をブツブツと言いながら、兼続は部屋へと向かっていた。



『無双組って…』



何だか無双組の事がよくわからなくなってきた私だった。



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