『じゃあ今日はここの公園で遊びましょうか』


「佐助ぇ!何やら揺れる椅子や回る球体等が沢山あるぞ!!」

「…わかったから旦那、大人しくして?」



「…小十郎」

「はっ」

「あの砂で城を作るぞ」

「…ご冗談を申されるな」

「Ha!俺は本気だぜ?」



「幸村」

「何です?兼続どの」

「鉄の棒が並んでいるぞ」

「本当ですね…どうやって使うんでしょうか?」



「『…はぁ』」



自然と私と政宗のため息が重なった。



『政宗、』

「何じゃ」

『私…もう疲れたよ』

「言うな。ワシもじゃ」



私と政宗は、公園につく前から疲れ果てていた。


何故かというと、
うん。まぁ、約5名のせいなんですけど。

5名っていうのは、幸村と伊達と兼続と元親と長政さまなんですけど。

公園までの道のりで、車に興奮するわ自転車に興奮するわで、もう…やってられなかった。

肝心の小十郎さんと佐助は、互いの主の愚痴を言い合ってて止めてくれないし。

私と政宗だけが疲れたよ!
真田さんはニコニコしながらその様子を眺めてるし!!
あの瞬間、初めて真田さんに殺意を覚えました。


私と政宗は、公園のベンチに腰をかけた。

ちょうどその頃、砂場では伊達と元親と長政さまが城を作り始めていた。



『…政宗は遊ばないの?』

「遊べるわけないわ…馬鹿め。そういう遼は遊ばないのか?」

『無理無理。そういう年じゃないし、疲れたし…』

「そうか…。ところでこの公園というのは、何のために作られたのだ?」

『ちっちゃい子が外でのびのびと遊ぶためとかじゃない?』

「確信は持てぬのか、」

『え、間違ってたら嫌でしょ』

「そうじゃな…」



私と政宗がのんきに話していたら、




ガンっ




「うっ…」

『ちょ、政宗!?』


遠くから見覚えのある下駄が飛んできた。

え、下駄?


すると向こうから、


「すまなかったな、山犬」


兼続がやって来た。



『かっ兼続?』

「何だ?遼」

『下駄飛ばした?』

「あぁ、幸村×2と彼処の子供がやっていた靴飛ばしという遊戯をやっていたのだ」



靴 飛 ば し !!

うわー、懐かしい。
昔よくやったよ…じゃなくて!!



『まっまま政宗?しっかりして!!』


顔面に兼続の下駄が直撃した政宗を揺すった。

何だかぐったりしている。

暫く揺すり続けていたら、政宗はゆっくりと起き上がった。




「…兼続、」

「何だ山犬、無事だったのか。ならば私は戻るとしよう」

「無事だったのか。…ではないわ!馬鹿め!!」



政宗は鼻血を出しながら、兼続を追いかけ出した。



「む、かけっこか?ならば受けてたつとしよう!!」

「兼続どの、私も混ぜてください!」

「某もでござる!!」

「貴様ら、まとめて葬り去ってくれるわ!!」



何故か関係のないW幸村も加わって、かけっこ(?)になっていた。

…というか既にかけっこじゃなくて乱闘になってるし!


城作り組も長政さまが「私よりも大きい城を作るなど、悪!!」って言って東西アニキたちの城を壊してるし。


『まぁ、楽しそうだし…良いか』



あの後、30分ぐらい遊ばせて私達は公園から引き上げた。






その帰り道───


『ねーねー元親、』

「んー?」


みんなにアイスを与えた。


『紫色ってさ、どういう意味があると思う?』

「紫色に?…んー、」


元親はアイスを食べながら考えこんだ。



「わかんねぇわ」

『正解は、』












『まぁ、欲求不満を表す色でした!!』

「ぶっは…!!」

『うわっ、元親汚い!!』



元親は食べていたアイスを吹き出し、咳き込んでいた。



「Ha!!欲求不満たぁ、随分と苦労してんじゃねぇか?西海の鬼!!」

「欲求不満、とは何だ?佐助」

「旦那はまだ知らなくていいの」



元親が意味を知っていたなら、毎日紫色の服を着ているわけだから、毎日欲求不満っていうことになる。



「ばっ…違ぇよ!!俺は欲求不満でも何でもねぇ!」

「どうだかなぁ?どう思うよ、遼」

『うーん…ご愁傷様?』

「だーかーら!!違ぇつってんだろ!!」




そう言う元親の顔は真っ赤だった。



「何かはわからぬが、長曾我部どのは欲求不満なのでござるな?」



あらら、幸村にも言われちゃってるよ。

言い出しっぺが言うのもあれだけど…ごめん、元親。
言わなきゃ良かったね。

伊達と幸村を犬のように威嚇する元親を眺めてたら、目があって、手招きをされた。



『?』


元親に駆け寄ると…





『うおぉおっ!!!?』



羽交い締めにされた。



「てんめぇ…良くもあんなこと言ってくれたな!あァ!?」


そう言いながら私の頭を、ぐちゃぐちゃと撫でまわす元親。



『ちょっ…やめぇええ!!』

「Hey!!my honeyから離れろ!」

「だーから、南蛮語なんざ言われてもわからねぇっつーの」



伊達に言い放つと元親は、私の顎を持ち、顔を上に向けさせた。




『もっ元親!?』


なんだなんだ!
目がっ!!目が綺麗だ!
笑っ…てる?
…ひぃっ!目が据わってる!!!!



「…欲求不満だ何だって言ったな?」

『はははっはいぃい!!!!本当にさっサーセンでした!』



ちゃっちゃんと謝れ、私!



「おう、謝る必要はねぇ。ただ…責任は取るよな?」

『せっせせ責任でございますか?』

「あァ…お前にゃあ、身体で責任でも取ってもらうぜ?」

『かっかかかかかっ…!?』


さっ囁くな!!
つか、身体って…!?




「西海の鬼!いい加減に離れやがれ!!」

「はっ!散々に言われたからな、遼は俺に身体で責任取るって言ったぜ?」

『言ってねえええええええ!!』

「「何!?」」


「かっ身体など…破廉恥でござる!!」

「今回悪いのは遼だからな、私は助けはせぬぞ」

『バカ政ー!!』

「何だか面白いですね!」

『ちょ…真田さんんん!?』

「言い出しっぺは貴様だしな」

『まっ政宗まで…!!』



兼続はアイスに夢中で話すら聞いていない。
無双組、裏切りやがって!!


ふと何かが視界にちらついたので見てみると、政宗が両手を広げていた。



『…何やってるの?』

「何って、遼のこと助けてやろうと」

『伊達に借はつくらない』

「Noooooooo!!」



つくづく伊達に酷い遼だった。



「…まぁ、お前を助けてくれる奴は居ねぇわけだし」

『うわっ…ちょ!!!?』



元親はいきなり私をお姫様だっこした。



『おっおおおろして!!つか高っ!!』


長政さまの時よりも、遥かに地面が遠かった。



「…じゃ、遼は美味しく頂くぜ!」

『え、何いっ…!?』


元親は、言い捨てると同時に走り出した。



「shit!!追うぞ、小十郎!!」

「…はっ」

「佐助ぇ!長曾我部どのから遼どのをお救いするのだ!!」

「…はいはい」



私達の後を追って皆で走り出した。



『もっとちか!!落ちる!!』

「あァ?しっかり首に手ぇまわしてつかまっとけ」

『くっ…!?無理無理!!』


「ちったぁ男になれたらどうなんだ」

『…え?』

「苦手なんだろ?触るのも触られるのも」

『何で、知って…』

「…てめぇの反応見てりゃあ誰でもわかるっての」



うっわ!さすが海賊のアニキ!!
何でもわかるんですね!



「…早くつかまれ。落っことされんのと、ここで喰われんの…どっちが良い?」

『いや、どっちも嫌なんですけど』

「落っことすのは冗談だ。いいから早くつかまれ」

『え、じゃあ喰われるってことだよね?』

「つかまんなかったら今すぐ喰ってやるぜ?」

『ううっ…』



私はなんとか元親の首に手をまわすことが出来た。



「やれば出来んじゃねぇか…じゃあ家でたっぷーり可愛がってやるからな…?」

『笑顔が怖いです。ていうかどっちにしろ食べられる運命なら今すぐ落っことして下さい』

「…」

『え、無視?』


このあと家に着き、押し倒される前に疲労困憊な佐助に救出されました。



(ありがとう、佐助)
(遼、ちゃんがっ無事な、ら…!!)
(見直したよ、とりあえず水分補給しとこうか)



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