『んぐぐっ…っんん!?』





ぎゃあああああぁぁ!!!?









ななななっなんで!?
なんでっ、元親に抱きしめられて…!!!?

昨日、確かに元親は私の隣で寝てただけ。の筈!!

アレか、姫若子の頃は大人しかったけど、鬼若子になってからは寝相とかその他諸々が悪くなったのか…ってオイ!!私は抱き枕じゃないんで、あんまりキツく抱きしめないで下さい!!!!



『元ちっ、元親ぁ!!キツっ…苦しいっ!!出る!内臓の何かしらが出るから!!』


元親の鍛え上げられた逞しい胸板を、バンバン叩いてやりました。



「んー…、」



んー…、じゃねぇよ!!



『ぐっ…ぐるじっ…!!』


息も絶え絶えに、うったえるとやっと力を緩めてくれた。



『っはー…』


死ぬかと思った…。
もう涙目ですよ、私。

急いで起きよう、と思ったが元親の手が頭と腰の辺りにしっかりとまわっているため、なかなかうまく腕の中から抜け出せない。



『ぐぬぬっ…!!はなっ、せ!!もとち、かっ!?』


もぞもぞと元親が動いたと思ったら、さっきよりも優しく抱きしめられた。



『なななっ何して、』

「…遼柔らけぇ」

『は?』



何て言った?今、

元親の声が小さくて、何を言っているかよく聞こえなかった。




『ちょ、元親。今何て…』


すると元親は「んー…」とか言いながら、私の首に顔をうめてきた。



『うわっ…!?ちょっ、髪の毛くすぐったい…!!』

「遼ってよぉ…柔けぇし、良い匂いだし、ちっせぇし…すんげぇ気持ち良い」



元親は、半分寝ぼけたような声でそう言った。


『あぁ!?首元でっ、しゃっしゃべんないで!!つか変態!!!!』

「んー…、」



いや、さっきからそれしか言ってないじゃん。

というか何?
んーって言ったってことは変態を認めたって認識していいの?



『まぁ、とりあえず離してイタダケマスカ?』

「…ヤだ。お前あったけぇもん…」

『いや、あったかいとかそういう問題じゃなくて、』


耳に吐息がかかったと思ったら、




「…もうちっと、そばに居ろよ…」

『っっ――!!!!』



寝ぼけてんの!!!?
それとも分かってやってるの!?

どっちにしてもたち悪い!!

あぁ、元親に触られても何ともなかったけど…これからは無理そうだ。




『とっとにかく起きよう!!ねっ、元親?』

「…………、」

『もーとーちーかー、』

「…が、」

『何?』

「お前が目覚めの…キス、だっけ?してくれねぇと俺起きれねぇ…」

『ばっ…!!!?』



何てこと言うのかしら、この姫若子ちゃんは!!

ていうか何でこんなに甘えん坊になってるの…?



『元親ーっ、キスはシャレにならないから起きようよ』

「や…だ、」




うっああああぁぁ!!
何なんだ、このだだっ子はっ!!
なんだか段々苛々してくるんだけど…?



『元親なんてもう知らないよ!?小十郎さんの愛のこもった朝御飯が抜きになっちゃうよ!?』

「じゃあ…キs『ダメです!!』

「…じゃあ、ちゅう?」

『ぶっは…!!』



ねっ寝ぼけた声で聞くな、バカちか!!
心臓に悪すぎる!!
可愛すぎる…!おっと、鼻血が…


『…仕方ないなー』


もうどうにでもなれっ!!

私は元親の鼻の頭に、キスをしてあげた。



「んなっ…!?」


なんか…予想以上に元親が照れてるんですけど。
え、言い出しっぺのくせに照れるとか、なんか私が恥ずかしいんですけど…。



『ほら、おっお望み通りしてあげたんだからっ…起きよう?』

「鼻って…」

『べっ別に元親はどこにキスしろって指定してないんだからね!!だから別に鼻にしても約束は約束なんだからねっ!!』


言いたいことがごっちゃごちゃになってもう日本語変すぎだよ私。



「…それもそうだな」

『あれ?』


なんか案外すんなり納得してくれた…?



「ありがとな、遼。初めて鼻にキスされたおかげで目ェ覚めたわ」

『え、なんかめっちゃ嫌味っぽく聞こえるんだけど』

「気にすんな!」

『いや、気にするか…っ!?』



元親の整った顔が近づいてきて、すぐに離れていった。



「あんまり気にしてっと、もっとひどいことすんぞ?」



んななっななな何やって…!?


『っも、もももっもも元親の…っ変態ぃいいぃい!!』


私は恥ずかしすぎて死にそうだった。
だから、全速力でダッシュして逃げた。




「…ちっと、からかいすぎたか?」


そう反省する元親は、とても楽しそうに笑っていた。




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