『久々に買い物したなー…まさかこれが役に立つとは…』



私の右手にはブラックカードが握られていた。

なぜ私が持ってるのかというと、両親は私に“ブラックカード”を渡して旅にでていってしまったからだ。




もうかれこれ3年ぐらい帰って来ていない。

たまにハガキがきて、今どこにいるとか、ここはこの食べ物が美味しいとかを書いてくれている。


楽しそうで何よりだと思う。

ブラックカードに感謝しながら帰り道をぶらぶらと歩いていると、人集りを見つけた。



『…事故かな?』


人集りに近づき、野次馬を掻き分けて前へ進むと、そこには居てはいけない人がいた。














「市!どこにいる!?返事をしろ!…なんだ貴様ら!私を取り囲むなど…悪!!」








ちょっ


その人はまぎれもなく“浅井長政”だった。

しかもなぜか第二衣装


野次馬の中心で「まったく何なのだ…」などと言っている。



変な目で見てる人や面白い物を見つけたような目で見てる人もいる。

しかも本人は武器装備。あ、でもあれお楽しみ武器だから大丈夫か…









ん…でも武器装備?

遠くからはパトカーのサイレンが聞こえてくる。


それを理解した瞬間、私の体は動いていた。






『ちょっ…ちょっと来てください!』


私は長政さまの手を掴み、全速力で走った。




「っ何なのだ、貴様!!」

『いいから走ってください!!』

「何故だ!!」

『このままだと、アナタは者になっちゃいますよ!?』

何っ!?それはいかん」


悪いっていう一文字が入ってきた瞬間、長政さまの走るスピードが速くなった。





うわぁっ!?



勿論、戦国武将の走るスピードについて行けるわけがなくて、私は転んだ。



『いったた…』

「むっ、大丈夫か?」



手をさしのべてくれる長政さま。
優しさには感謝します。でも転んだのはあなたのせいですから。

転び方が派手すぎてケガは酷く膝からは、凄い量の血が流れ出ていた。



『…すいません。もう走れないかもしれないです』

「む…貴殿がいないと私は何処に逃げれば良いかわからぬのだが…」



うーむ…とアゴに手を当てて考え込む長政さま。

しばらくその様子を見ていると、遠くからまたパトカーのサイレンの音が聞こえた。






『ヤバいです!!早く逃げないと貴方はになっちゃいますよ!!』

「何ぃっ!!!?…よし」



いきなりしゃがみこんだと思った次の瞬間、







きゃあっ!!!!!?


横抱き…つまりはお姫様だっこをされた。



『ちょっ…何してるんですか!?下ろして下さいよ!!』

「む、もう走れるのか?」

『い…いえ』

「なら大人しくしておけ。…それで何処に逃げれば良い?」

『っ――!!じゃあ言った通りに進んでもらえますか!?』

「勿論だ!!」



横抱きのまま、私は家へと向かうのだった…。












「…ここでいいのか?」

『はい。…えーと、そこにあるでっぱりを押してもらえませんか?』

「これか?」

『はい』



ぐっ



ピーンポーン



ビクッ



「なっ…何だこの不気味な物は!!」


長政さまにインターホンを押してもらった。
まぁむこうには無いだろうから、その反応は当たり前なんだろうけど。


『これはインターホンといって、家の中に居る人に来客を伝えるものです』

「ふむ…なかなか便利ではないか」



興味が出たのか、インターホンをじっと見つめる長政さま。
程なくして、中からドタドタという廊下を走る音が聞こえた。




ガラッ



遼どのォ!!

遼!!



幸村と伊達が、玄関を開けて直ぐに突っ込んできた。



『なっ長政さま!!危ないです!このままだとっ…』





ひらり

ズシャアッ



『………』



長政さまは私を横抱きしたまま幸村と伊達を見事にかわした。



「…これは「あ、遼ちゃんお帰りー…ってあれ?アンタは近江のー…」


佐助より早く、幸村と伊達はその名を言った。



「「浅井長政!!」」














『お茶…どうぞ』

「すまないな」


あの後、長政さまを家に招き入れて、佐助たちの時と同様の話をした。

初めは「嘘をつくなど…悪!!」などと言っていたけどテレビとかを見せると納得してくれた。



「しかし…魔王の義弟まで来るとは…」

小十郎さんが言った。



「仕方あるまい。気づいたら城じゃない場所に居たのだ。」

『長政さまは何をしてたんですか?』

「私か?私は市と話していたのだ。」

『えっ、じゃあ急にお市さんの前から姿を消しちゃったってことですか?』

「…まぁそうなるな」



長政さまの瞳に陰がさした。


「今頃市は…っ!!くそ…」



…大事な人と離れるのはツラいですもんね。



『長政さま』

「…何だ」

『ここにいる5人も目的は同じです。…なので帰る方法が見つかるまでここに住みませんか?』


長政さまは一瞬驚いたような顔をした後、私の目を見ながら「…いいのか?」と聞いた。


『…勿論です!!長政さまは転んだ私をここまで運んでくれた恩人ですし』

「では…世話になる」


長政さまが住むことが決まった。









…てゆーか遼ちゃん

『何?佐すk「何?じゃないでしょ、このおバカさん!!転んだって何!?俺様たち一言も聞いてないんですけど!!」

『…あ、忘れてた』

「忘れてた…じゃないの!!ほら、さっさと傷口見せる!!」

『…はーい』



このあと私は、佐助の手荒い治療を受けたのだった。




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