長曾我部軍の家臣である福留親政様―――隼人様は、大変ご苦労なさっているようなのです。 「ん?あれ、隼人じゃん!いつの間に来たんだよ!!」 「あ、隼人。兄上と盛親が己の武器を使って喧嘩をしているようなので、止めてきて下さい」 「…ぐう…っん?この膝掛け…誰が?」 「げっ、隼人じゃん…!!この間の手合わせでよぉ、お前にやられたとこ…まーだ痛ぇんだよなぁ?」 …とまぁこんな具合に。 隼人様の口からため息がなくなる日はくるんでしょうか? ―――― ある日のこと。 「あ、茅様おはようございます」 『おはようございます、隼人様』 いつもの如く、その鍛えられた身体にはとうてい似合わない庭掃除をしている隼人様と挨拶をかわす。 「隼人で良いと言っておりましょう?」 『…では、お言葉に甘えますね』 お茶を、持ってきたので休憩にしませんか?と言うと少し驚いた顔を見せた後、やわらかく微笑んで、はいと返事をしてくれた。 「いただきます」 『どうぞ』 隼人がお茶を啜る音がする。空を見上げれば、雲一つない晴れ。敵国の黄緑の方が喜びそうな天気だった。 (平和だなぁ…) 私は今この時の何事もない平和な時間を噛み締める。戦ばかりのこの世で、たまにしか味わえない"幸せ"な時間。 『…平和って、良いですね』 「心配せずとも、殿がすぐに泰平の世を見せてくれますよ」 『ですね…』 続けてお茶を啜っていると、隼人が思い出したように「そうだ」と声をもらした。 『どうかしました?』 「これを、茅様に差し上げようと思って」 隼人が手にしていた物は、蒼色の飴細工のような綺麗な飾りがついた簪。 『こ、これをですか!?』 いかにも高そうなそれを私が貰うというのは、かなり気がひける。 「良いんですよ、貰って下さい」 『でも―――』 「俺が良いと言ったら良いのです。挿してあげますから寄って下さい」 隼人が今日に限って一歩も譲ってくれないので、今回は私が折れることにした。 「―――これで良し」 『あ、ありがとうございます。何かお礼をしなければ――』 「お礼はこの茶で良いですよ……それにしても、」 次の言葉で私の思考が停止するまで、あと少し。 よく、似合ってますよ (…あれ?茅様?) (うっわ!!見ろよ信兄!隼人が茅のこと口説いてんぞ!!) 隼人が言葉の攻撃を受けるのもあと少し。 ――――――――――――――― 今回のお相手は隼人でした! 隼人のイメージは、元親並みの筋肉でとにかく強いけど精神面は弱い(長曾我部軍の人のみ) 不憫だけど茅さんのことが大好きだったら尚良し。 お付き合いありがとうございました! 2011.03.03 |