長曾我部軍はいつも賑やかなのです。 「おう、茅」 『あ、おはようございます、信親様』 「…だぁああっもう!!信親で良いって言ってんだろ?」 『いえ、信親様は元親様のご嫡男ですから…』 この方は、長曾我部信親様。元親様のご嫡男です。 「…ったくよぉ、俺が良いって言ってんだ。素直に従っとけ!!」 『えっと、じゃあ…の、信親?』 「おう!」 今日一番の笑顔を見せてくれて、私の頭をくしゃ、と撫でた。 「信兄ー!!」 私たちが廊下を歩いていると後ろから元気な声が聞こえてきた。 「ん?なんだ、盛親じゃねぇか」 「なんだって言うな!!」 この方は元親様の第四子、長曾我部盛親様。 『おはようございます、盛親様』 「お、やっぱ茅だったか!!おはよ!」 「…んで、何の用だ?」 元気な盛親様とやりとりをしたのを見て、信親はここに来た目的を聞く。 「あ、そうそう!今日は兄貴達が手合わせしてくれる日だろ?」 「…そういえば、そんな約束もしたような気もするな、不本意だが」 「は!?忘れてたのかよ!」 『まっまあまあ、落ち着いて下さいよ!』 今にも信親に掴みかかって行きそうな盛親様を宥める。 「冗談だっつの。じゃあ行くか」 「よっしゃ!和兄は説得したし忠兄は道場で寝てると思うから行こうぜ!!」 『では、私はこれで…』 そう言って、私はその場を去ろうとするが盛親様が私の腕を掴む。 『えっと…?』 「何言ってんだ、お前も行くぞ!!」 『…へ!?いっ、良いですって!』 「まーまー、たまには良いじゃねぇか!!」 『え、遠慮しておきま―――ってきゃあ!?』 私が自室に帰ることは許されず、盛親様の肩に担がれて道場へと向かうのだった。 ――――― 「よし、勝負しようぜ!信兄!!」 盛親様は木刀を握る。 「ハッ…俺に勝てた試しもねぇくせに、よく言うぜ!」 「だから今日は勝つんだよ!!」 お互い武器を構えて出方を窺っている。 「…全くこりないねぇ、あの二人」 『そうですね…ってうわあ!?孫次郎様!!いつの間に…』 聞こえてきた声に思わず反応すると、私の太股の上に元親様の第三子である津野親忠様―――孫次郎様が頭を乗っけていた。 『びっびっくりしたぁ…!!いつからいらっしゃったんですか?』 「茅がここに座った時」 要するに初めからですね。あまりにも軽すぎて自分が膝枕をしていることなんて理解していなかった。 「あっ、忠兄ずりぃぞ!!」 「よそ見してんじゃねぇ!」 盛親様の注意がこっちに向いている隙に、信親が攻撃をする。 「うおっ…!!」 「てんめぇ、いっつも思うんだが集中力が足りねぇぞ!」 「じゃあ信兄は忠兄が羨ましいとは思わねぇのかよ!?」 「…っ思わねぇよ!!馬鹿かお前!!!!」 二人がぎゃいぎゃい言い争いながら鍔迫り合いをしていると、力負けした盛親様の木刀がこちらへ飛んでくる。 「「危ねぇ!!!!」」 『きゃ―――』 手で顔の前に盾を作って目を瞑る。カンっと音がしたと思えば、飛んできた木刀を孫次郎様が弾いてくれたようだった。 孫次郎様は起き上がって私の顔を確かめるように見る。 「大丈夫?」 『あ、ありがとうございます。お陰で怪我はありません』 私の一言にほっとしたのか信親と盛親様がどっとしゃがみこむ。 「はぁ…良かったー!もし怪我でもさせたら大変だったな…ごめん」 『大丈夫ですよ』 「…何が大丈夫なの?」 ふと背後から聞こえた低い声。みんなで後ろを振り向くと――― 『おっ、おはようございます…親和様』 「おはよう、茅」 この方は元親様の第二子、香川親和様。爽やかな笑顔で返してくれたのだが、額からは血が流れていて、手にはさっき飛んでいった木刀が。 (や、やばい…!!!!) この時三人は同じ事を考えていたんだとか。 「さて…茅、下がってて?」 『え?あ、はい…』 勿論逆らえるはずもなく、言われた通りに下がる。 「さて…今日は手合わせ、だったよね?」 親和様の身体は己の属性である雷がばち、と音をたてまとわりついていた。 血を継ぐ者たち (ちょ、親和!待て!!) (ぐう…) (忠兄、寝てる場合じゃねぇってば!!) (まだ余裕があるんだね?) ――――――――――――――― 始まりました、誰得な企画です。もしよろしければお付き合い下さい^^ 因みに属性 信親→炎 親和→雷 親忠→風 盛親→炎 みんな炎でも良いと思うんですけどね。 兄弟喧嘩は、主に信親と盛親でおっぱじめることが多い。で、楽しく見てるのか平然と寝てるのが親忠、呆れてるのは親和。 ありがとうございました! 2011.02.26 |