05



「真田幸村、猿飛佐助、只今戻りました」

「うむ、入れ」

『…失礼します』


城へと戻った私達は、信玄様の元へと報告に行く。


「城下の民達はどうであった?」

「皆変わりなく過ごしておられます」

「そうか…ご苦労じゃったな、幸村よ」

「勿体なきお言葉…!」


あ、これはもしかすると…


『佐助様、』


小声で佐助様に言う。


「どうしたの?」

『もしやまた殴り合いが始まるのでは…』


信玄様と幸村様の周りに、ゆらゆらと揺らめく炎の気配がした。


「は、はーい!旦那も大将も、さっき村で買ってきたお団子食べませんかー?」


額に汗を浮かべながら、佐助様は買ってきた団子を出す。


「おお!お館様、是非ご一緒に頂きませぬか!?」

「ようし、では皆で頂くとするか!!」

「ぅうお館さぶぁああ゛あぁあああ!!」

「ゆきむるぁああ゛あぁああ!!」

「結局始まっちゃうのね…」


苦笑いを浮かべながらお茶を淹れに行こうとする佐助様に『お手伝いします』と言って着いて行くことにした。












「お茶ですよー」

「遅いぞ佐助ぇぇ!!」


はいはいすいません、と一切悪びれる様子もなくお茶を手渡す佐助様。


「うむ、やはりあそこの団子は天下一品だ!!」

「確かに…お主の目に狂いはないようじゃな」


自然と笑顔が綻ぶような、素敵な味がした。

佐助様は、どうやったら作れるんだろう…とぶつぶつ言いながらお団子を一口一口噛み締めている。

私達が団欒としていた時だった。


「!!!!」


遠くから何かが爆発するような、大きい音が空を響いた。

その音から程なくして、


「お、お館様!!」

「入れ」


1人の足軽が、部屋へと入ってきた。


「如何した?」

「じょ、城下の村が…!」

「城下に何かあったのでござるか…!?」


悲劇の、始まりだった。



「織田の軍勢かと思われます…城下に攻撃を仕掛けてきました!!民家に火を放っています…!!」

「っ…なん、だと!?」


幸村様の表情が険しいものに変わった。



[ 6/13 ]




[*prev] [next#]
[しおりを挟む]