04



『うわあっ…とっても賑やかですね!!』


私達は城下に着いた。
幸村様が一緒に馬に乗って私を支えて下さり、難なくここまで来たのだ。


「良き場所にござりましょう?」

『ええ…流石、信玄様が治めてらっしゃる国ですね』


信玄様は、病に苦しんでいる民があれば、駄賃は一切取らず医者に掛からせたりする等、甲斐の民からの信頼も人望も厚い。

そして、


「ああ…幸村様じゃ…!」

「本当じゃあ…!!」

「お元気でしたか、皆様」


幸村様も…いや、武田軍の兵士達は皆、民に信頼されております。


「今日は姫様を連れておりますが…何か贈られるのですか?」

「なっ、ななな!だ、断じて違いまする!!」


村人達が幸村様の顔から火が出るのでは、と思うくらい真っ赤にしてしまった。


『ふふ…!』

「ひ、姫様!!笑い事ではございませぬぞ!!」


可笑しくて笑うと、幸村様がそう言ってきた。


「それで幸村様、本日はどの様なご用件で…」

「ああ、お館様に城下の村の様子を見て来てほしいと言われまして」


幸村様は村人に囲まれる。特に子供からの人気が高く、「あの技やって下さい、幸村さまー!!」と言ったように、幸村様に憧れている子達も少なくない。


「きょ、今日は勘弁してくれぬだろうか?槍を持って参る余裕が無かった故…」


佐助様が見張って下さっており、幸村様は丸腰で来たのだ。


「うー…じゃあ今度来た時は絶対だよ?」

「勿論!」


じゃあ約束!!…と言って二人は互いの小指を絡める。


「旦那ー、いつもの団子買って来たよ!!」

「おお!すまないな、佐助」


良いって良いってーと言いながら、私の方に近づいてくる。


「帰ったら城の皆で食べよう?」

『はい!!』


そう言われて、自然と頬が緩む。


「では、某たちはこれで」

「道中、どうかお気をつけてお帰り下さいまし…」


村の皆様が見送って下さった。



[ 5/13 ]




[*prev] [next#]
[しおりを挟む]