03 『ふう…』 朝餉を食べ終え、自室に戻る。今日はどうやって過ごそうか、なんて考えるが思い浮かばない。 ここの屋敷にある書物は全て読んでしまったし、屋敷も探検し終わった。 (やる事が無い…) 部屋に居ても結局は退屈してしまう為、部屋から出ることにした。 行き先がある訳ではないため、とりあえず右に曲がってみる。 ――すると、 『わっ…!』 何かにぶつかった。 私は尻餅をついてしまう。 「あ…咲様!大丈夫でござりしょうか?」 ぶつかったのは幸村様だった。慌てて手を差し出して下さる。 『す、すみません』 「いえ、某こそ注意力が足りず…」 『そ、そんなにお気になさらずとも…!』 幸村様の気が凄い勢いで沈んでしまったのが分かる。 『ええと…あの、私に何のご用でしょうか?』 こちらの方向には私の部屋しかなく、向かって来られるということは、私に用事があるということで。 「あ、そうでござった!!咲様、今から某と城下へ参りませぬか?」 『城下へ、ですか?』 「ええ」 幸村様に拠ると城下へ行き、民達の様子を見て来てほしいという信玄様からの命が下ったらしい。 『何故私を…?』 「咲様が暇して居られるのではないかと思いまして」 『よ、良くお分かりで…』 幸村様は、たまに私の思考が読めるのでは…?と思う程鋭い。 「ならば共に参りましょう!!」 『え、』 「佐助ぇ!!!!」 幸村様がそう呼ぶと、何処からともなく佐助様が現れた。 「これから城下へと向かう。咲様の護衛を頼めるか」 「勿論、絶対守り抜きますよ…姫様?」 『…はい!』 こうして、私達3人は城下へと出掛ける事になった [しおりを挟む] |