12 佐助様が意識を取り戻して下さった。凄い安心感で心が満たされる。 でも佐助様は動くことが出来ないらしく、一向に悪い状況が続いている。 ―――私が何とかしなければ。次は私が、佐助様を護ってさしあげる番なのだ。 『…あなたの、目的は何ですか』 目の前の敵に訊ねる。目的がはっきりしない以上、迂闊に手を出せない。 すると、漆黒の人は私の手を力強く掴み、自分の方に引き寄せて ―――お前を、奪いに来た …と、口の動きだけで伝える。 『な、なぜ…っきゃあ!!』 理由を聞こうとした瞬間、抱き上げられた。 『は、離しっ…!!』 じたばたと抵抗しようと藻掻くと何か布の様な物で口元を覆われた。 『っ――――』 私の意識は再びそこで途切れた。 『は、離しっ…!!』 姫様の嫌そうな声が聞こえる。 まさか風魔の奴、姫様に何か…? 怒りで身を奮わせ、なんとか頭を二人のいる方向へと向けると、風魔の腕の中でぐったりしている姫様の姿が。 (薬――か、) 何か嗅がせたな、とどんどん積もっていく怒りだが、今の俺様は何も出来ない。 すると風魔は身を翻し、森の中へと歩を進めて行く。 「っ、」 手を伸ばしても届かない。二人はどんどん遠ざかっていく。 「ひ、めさ…」 俺様の意識はここで途切れた。 [しおりを挟む] |