11 ――――助けて 何処からかそんな言葉が聞こえた気がした。 っていうか、何で俺様こんな真っ暗な所に…? あ、確か風魔とやり合ってたんだっけ…?はは、情けない。護りきれなかったんだね、旦那と姫様。 自嘲気味に笑ってみる。 ―――様たちには、手を出させません!! …何で姫様の声が聞こえるの?え、何、俺様ってば姫様の事慕ってたとか?いやいや、そんなまさかー! だって忍に感情なんていらないんだもん。 ――持っちゃ、駄目なんだよ。 ――――佐助様! 遠くであの子が、姫様が俺様を呼ぶ声がする。 何で、何で思い出すの? お館様と旦那の命だから、護っていたにすぎなくて…でも別に嫌な気もしなかったような…? あんなに素で話が出来たのは姫様が初めてだと思う。かすがだって素っちゃ素だけど…何か違う。 ――もし、貴方が佐助様を殺すつもりならば…っ!! 私が代わりになります! はは、何言ってるの姫様。血と漆黒は駄目だって言ってたじゃない。そんなことしたら死んじゃうよ… 「う…」 俺様の意識が、こちらへ戻ってきた。 『貴方は…っ!!私の両親を殺しても気が済まないんですか!?』 「―――、」 姫様、と言おうとしても上手く声が出てくれない。 『これ以上…っ私の大切な人たちを奪わないで下さい!!』 「……え」 今までに出したことのない、間抜けな声が出てしまった。何て情けないのだろうか。 『さ、佐助様!!』 お気付きになられたのですね!!と嬉しそうな、泣きそうな声でそう言った。 ただ身体が動かせず、立てもしない。姫様を庇う為に前に出ることも――出来ない。 ―――――ちくしょう。 [しおりを挟む] |