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『う…っ』


気がつくと私は横たわっていた。あぁそうか、私は気を失ってしまったのか――


ぐっ、と身体を起こそうとすれば何か上に重たい物が乗っている。それを何とか辛うじてどけるとそれは佐助様の腕だった。


『――っ佐助様!?』


酷い怪我をあちこちにしている。


『…まさか、私と幸村様を護って…?』


幸い、佐助様のお陰で私と幸村様には一つの怪我もない。ただ、佐助様を早く手当てしなければ出血死してしまう。


『さ、才蔵様は―――』


才蔵様も地に伏せていらっしゃった。


『う、嘘…!』


私は思ってもいなかった展開に、ただ同様するだけ。まさかあの佐助様と才蔵様がやられてしまうなんて、夢にも思わなかったから。


『っ、とりあえず!』


着物の袖を引きちぎって、佐助様の出血の酷い箇所をきつく縛りつけていく。


――――すると、


『だ、誰!?』


がしゃ、と鎧の音がした。振り向くと――――


『っ…ぅあ、』


あの日、父上と母上を殺した、


「…………」


漆黒に身を包んだその人が―――目の前に。

…ただ、あの人とは違う。髪の色もこんな赤色をしていなかったし、こんなに筋肉質ではなくもっと――


『あ…!!』


私が考えているうちに、だんだんと距離を縮めてきているのがわかる。


『いや…っ来ないで!!』


ただ無言で迫ってくるこの人が…怖い。


(た、助けて…!誰かっ!!)



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