10 『う…っ』 気がつくと私は横たわっていた。あぁそうか、私は気を失ってしまったのか―― ぐっ、と身体を起こそうとすれば何か上に重たい物が乗っている。それを何とか辛うじてどけるとそれは佐助様の腕だった。 『――っ佐助様!?』 酷い怪我をあちこちにしている。 『…まさか、私と幸村様を護って…?』 幸い、佐助様のお陰で私と幸村様には一つの怪我もない。ただ、佐助様を早く手当てしなければ出血死してしまう。 『さ、才蔵様は―――』 才蔵様も地に伏せていらっしゃった。 『う、嘘…!』 私は思ってもいなかった展開に、ただ同様するだけ。まさかあの佐助様と才蔵様がやられてしまうなんて、夢にも思わなかったから。 『っ、とりあえず!』 着物の袖を引きちぎって、佐助様の出血の酷い箇所をきつく縛りつけていく。 ――――すると、 『だ、誰!?』 がしゃ、と鎧の音がした。振り向くと―――― 『っ…ぅあ、』 あの日、父上と母上を殺した、 「…………」 漆黒に身を包んだその人が―――目の前に。 …ただ、あの人とは違う。髪の色もこんな赤色をしていなかったし、こんなに筋肉質ではなくもっと―― 『あ…!!』 私が考えているうちに、だんだんと距離を縮めてきているのがわかる。 『いや…っ来ないで!!』 ただ無言で迫ってくるこの人が…怖い。 (た、助けて…!誰かっ!!) [しおりを挟む] |