08 「姫様…?」 姫様はさっきから頭痛で酷くうなされていて、どうやら気を失った様だった。 姫様を抱きかかえながら、旦那と才蔵の元へと行く。 「旦那…?」 「俺は…明智光秀がこの子に手をかける瞬間、そこに…近くに居たのに…っ救う事がっ出来なかったのだ!!!!」 『おや、美味しそうな子供ですねえ…』 『え…っ?』 『に、逃げ――――』 間に合わなかった。 槍を振るおうとした瞬間、漆黒の影がその子を斬り裂いた。 目の前で倒れゆくこの子を抱き留めた時、 『幸、村さ…ま?約束、果た…に来て、く…た』 『しゃ喋るな…っ!!』 明智殿を睨めども、明智殿の武器は血がついておらず、先刻の影だと瞬時に理解出来た。 ―――ただ、傷口を押さえ付けても血は止まらなかった。 『こん、な…すぐ、な…て思わ、か』 『もう…っ喋るな、』 程なくして、最後にその子は笑いながら 『また…見せ、に…遊び…に』 と言いながら息絶えた。 「漆黒の、影か…」 「そんなに素早いということは、恐らく――」 刹那。 キィンと才蔵が何かを弾いた音がした。 「…手裏剣!?」 (まだ残党が居たのか…!!) 俺様達は旦那を守るように囲んで武器を構える。 現れたのは―――― 「風魔、小太郎…っ!!」 「…やはりな」 伝説の忍・風魔小太郎だった。 [しおりを挟む] |