「…別れよう」 「……」 突然お主にその言葉を告げる。 俺は戦場に出て行かねばならぬ身で、お主は普通に、幸せに暮らすことの出来る身で。 いつ死ぬかも分からぬ身の俺より、ずっとお主に添い遂げれる者と一生共にいた方が―― 「…そう、ですよね」 震える声で返ってきた。 「私と幸村様では身分が違いすぎますもの…当たり前ですよね」 違う、違うのだ、そんな顔をさせたかったわけではない。 そのような事を言わせたかったわけではないのに。 その震える肩を抱きしめて、安心させてやりたい。 だが、してはならないのだ。 俺の捨てきれずにいる想いがそのまま残ってしまうから。 「…今まで私に、楽しい時間を与えて下さり…本当にありがとうございました」 「―――っ」 背中を向けて去ってしまうお主の名を呼んで、引きとめていたら何かが変わっていたのだろうか。 また、一緒に笑いあえた時間が戻ってきたのだろうか。 後悔ばかりが俺の心を押し潰す。 遠くなっていくお主の背中に、誰にも聞こえぬように呟いた。 「さようなら」 大好きだった君に 大切だったこの想いに (どうか、俺のことは忘れてくれ) ―――――――――――――――――――― 二つ目は幸村。 きっとお互い凄く愛しあって、想いあってたんだろうなーという設定← title:M.I様より「祈りの言葉」 |