「私ね、三成様の所へ嫁ぐわ」


お前は嬉しそうな風でも、悲しそうな風でもなく言う。


「…そうか」


ワシはそんな表情のお前を見て、何を言って良いのかわからなかった。
今のお前は人形みたいに表情が読み取れなくて…

でも、聞いておかなければならないことがあった。



「お前は、その絆で幸せになれるのか?」

「………」


あの三成のことだ。
女にも容赦なく手を出すことは容易に想像出来た。

だが、お前は言う。


「…三成様は、家康が思っている様な方ではないわ。お前には決して手をあげないと、誓って下さったもの」


―――三成が?

ずっと豊臣秀吉という人物を崇めていたあの三成が?
ワシは半ばその言葉を信じきれなかった。
――ただ、お前に会ってから三成が変わったとすれば…?


「ふっ…随分と三成も丸くなったものだ」

「…ふふふ」


ワシ達は苦笑いともとれるような笑い方をしていた。


「だが、お前のお陰であいつが変わったのなら礼を言わねばならぬな」


一つのものに縋っていたあいつを自立させるまでに変えてしまえるのは純粋に凄いと思った。
…まあ、お前に縋ってしまったらまたふり出しからなのだが。



「本当に…ありがとう」

「良いよ、お礼なんて」


ワシが変えてしまった三成の道を、お前との絆でもう一度正してくれた。

密かに持ち続けていたお前への想いも―――明かすことはなかったが、きっと無駄にならずに済む。

お前と三成が幸せになれるのなら…


もう一度お前に本当に幸せになれるのだな?と問う。

今度は直ぐに、ワシを力強く見つめ返してもちろん、と返してきた。


それならワシもこの言葉をお前に送ろう。





の瞳にいがないから

ワシもわずにえる




――――――――――――――――――――

お礼一つ目は、家康です。

初書きだったもので、というか多分これ絶対誰これ状態ですね、わかります。

家康と主は幼なじみ設定。


title:M.I様より「祈りの言葉」






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