私はごくごく普通の、本当に一般的な、どこにでもいる学生。
…なんだけど、


「Hey, なまえ!!」

「…………」


こいつ――伊達政宗のせいで平和な私の学生ライフがめちゃくちゃにねじ曲がったのだ。
廊下ですれ違えば口説いてきて、周りから視線をあびる。
屋上でボーっとしていれば、いつの間にか隣にいる。

…そして極めつけは、所構わず手を出してくることだ。

毎日気を抜いていられる時間は皆無なわけで…5kgも痩せちゃったんだぜ!
あんなに健康的な体だったのに、今ではみんなに「大丈夫?」と心配される始末。

…もう嫌だ!


「おい!待てよ!!」

「い・や・じゃあああぁぁああ!!」



逃げても逃げても追いかけてくる伊達。

所詮私は女で、彼は男なわけで…


「…道選ぶの失敗したあぁぁあああ!!!!」


体力の限界&屋上という名の行き止まり。
もう最悪、なんて運がないんでしょう!


「Ha!観念しやがれ」

「うっ…」


じりじりと少しずつ私との距離を詰めてくる伊達。



「ちょ、こっちこないでよ!」

「答えはNoだ」



頑固かって!!
何で私ばっかりこんな目に…!

そんなことを考えながら後退りをしていたら、



「…っうわあ!!」


「なまえ!」


気を取られて足がもつれ、体勢を崩してしまった。

………やばい!

思いっ切り背中を、頭を強打する。


そう思ってたのに



「おい!…大丈夫か!?」


私が無意識に伸ばしていた手を伊達が掴んでいた。
しっかりと、キツく、キツく。


「な…なんで、」


そう言うと、腕を引っ張られて伊達の腕の中に閉じ込められた。


「ちょっ…!?」


ぎゅう、と力強く抱き締められる。


「…ったく、ヒヤヒヤさせやがって。困ったHoneyだぜ」


ふざけた口調で言いながらも表情は今までに見た事がないような真剣なものだった。


「はっ離し、」

「嫌だね」


脱出を試みるが、逞しい腕が私を離してくれない。



「もう!!叫ぶよ!?」

「へぇ?やってみりゃあ良いじゃねぇか。…まぁそんなことされる前にお前の口、塞ぐけどな」

「なっ……!?」


何て理不尽な…!!
すると伊達が私の顎を掴み、上を向かせた。

ふと目が合う。
逸らしたくても逸らせない。

真っ直ぐに私を見て、私だけをその瞳に映し出している。
距離が近くて自然と顔に熱が集まっていくのが分かる。



「なあ、なまえ」


何も悪い事をしていないのに肩がはねた。
ゆっくりと伊達の顔が私の耳に近付いていく。


低い声で、

「          」

一言、囁かれた。

私は今どんな顔をしているのだろうか。




「…おい、なまえ?何固まってんだ?」


こんな奴嫌いだった筈なのに、こんな奴大っ嫌いだった筈なのに、



耳元で囁かれるきだよの魔法


(え…な、っえ…?)
(Ah?聞こえてなかったのか?もう一度言うぞ?「好きだ」)


鼓膜に直に届いたその音は、本当に貴方の口から聞きたかった言葉だったのかもしれない。



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♯1周年企画!!

今回は伊達でしたー。
なんとかかっこいい感じの伊達を目指しましたが、無理でした(^O^)!!←

どうしてもギャグチックになるという…誰か私に雰囲気を作れる力をっ!!!!←


ここまでご覧下さりまして、誠にありがとうございます。
これからもよろしくお願いします!!


2010.12.28
2011.11.26 加筆修正





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