夏。
うだるような暑い日がここ数日続いている。
太陽からサンサンと日差しが降り注ぎ、コンクリートは熱板と科す。

こんな日は家でクーラーを付けてゴロゴロしているのが一番だ、と倉間は自宅のソファーにてねそべっている。


「あー快適………。」

狭いソファーにて小さく寝返りをうちクーラーからの風邪を真っ向から受ける形となった。

だが、倉間はこの時クーラーの不調に気付く。

クーラーの冷たい風邪に混ざって何故か暖かい風邪を肌で感じた。
「…?」

設定温度が高いのかと思い、リモコンを使い温度を調節する。

ボタンを押すたびにピッピッと電子音が聴こえるのだが温度が下がる様子は一向に見えない。

やけになった倉間は力強くボタンを連打する。

「っこの!この!…この野郎!!」

全力で押したのを最後にエアコンは動きを停めた。

そうなったかと思えばエアコンはボンッと音を立てモクモクと怪しい煙をたてた。


倉間はやってしまった、と苦い顔をする。


こうなったら仕方がないと、今いない両親に宛てた手紙をおいて、倉間は外へと足を踏み出した。


「っ…あちぃ」

外は変わらずの炎天下で数十メートル先は、歪んで見える

思わず目をグッと細める。


家にはいられないと出てきたのはいいもの、行く宛先を決めてなかった、と気の向くままに足を進める倉間。


「…一番近いのは浜野ん家か、」
だがこの時、口では浜野の家に行こうと言う倉間だったが、頭には南沢の顔がちらついていた。


「……やっぱり…」

ちょっとばかし歩く距離が長くなるがこの際仕方がないことだ、と割り切り速足で道を進んで行った。

きっといきなりいったらあの人驚くだろうなと驚く恋人を頭に思い描きながら口角が上がるのを押さえられなかった倉間だった。


「だからって、こりゃあないわ〜……あちぃー」

ゴロンと床に寝転ぶ倉間。

恋人である南沢の家に無事たどり着いたものの運命の悪戯なのか…

南沢の家のクーラーも調子が悪いらしく、電源がつかない。

唯一の頼りが扇風機だ。


「〜あちーぃ!」

「うるせぇな、お前が勝手にきたんだろ!文句いうな!」

扇風機の風だけではやはりこの暑さに対抗するには役不足であった。

「あーぁこんなことなら素直に浜野ん家いけば良かった。」と南沢に対し項垂れながら嫌味混じりの文句を垂れる倉間。


「なんだよ恋人の前で堂々と浮気宣言か?」

「…別にそんなんじゃ」

倉間の言葉が気にくわなかった南沢は倉間の方へと息がかかるほど近くに寄る。

倉間は一気に赤面へと変化する。


「なんだ、違うのか……」

南沢はその反応を横目で見ながら、すぐ目の前に見える髪へと手を伸ばし、倉間の柔らかな髪に触る。

「…にしてもおまえの髪柔らかいな」

「…えっ、ふ、普通じゃないッスか」

「………そうか」

「そうッスよ」


癖毛ともいえる髪をクルクルと自分の指に絡めるように遊ぶ南沢。

「…南沢、さん…?」

南沢は倉間の首筋にゆっくりと顔を埋めた。

「くすぐったい…っ」

「いい匂い」


南沢が何かを喋るたびに首筋に息が当り、倉間の肩がピクンと跳ねた。

「っ…!」

「可愛いな、お前……、」

「……男に言って喜ぶような台詞じゃないッスね」

「…まぁそうだろうな、お前は特別だと言うことだ」

「……複雑」

わかっているなら言わないで欲しいと、ここで一つ文句を言ってやろう思った倉間だったが、南沢のせいでいっぱいいっぱいだった。


「さーて、と暑さを吹き飛ばすくらい可愛い倉間ちゃんだが……これからどういただこうか…」

「え……」

怪しく微笑む南沢に倉間は自分の血が引くの感じた。

「っん」

顎を引かれキスをされる。

南沢の汗がゆくっりと頬を伝い倉間の着ている服に落ち新しい染みをつくった。


今日のキスはいつもと違いしょっぱく、なのにいつもより甘く感じたらしい。




END



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あやよし様に相互感謝記念に捧げる南倉。倉南だった私もすっかり南倉に移転。あやよし様からは素敵なイラストを頂いたのにこんな駄作を捧げるなんてお許しを!これからよろしくお願いします。




(甘い汗)




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