※学パロ 久しぶりにあいつの家を訪ねて見れば、机の上には沢山のテキストがひろげられていた。普段勉強しないようなデイダラにしては珍しく思い、どうしたと問いかければ明日テストなんだと言う。 「ふーん、そうか。ご苦労なこった」 「なんだよ。その興味なさげな反応は…うん」 「興味ねぇし」 本音を漏らせばデイダラは、こっちにとっちゃ命にかかわるのになあ、うん、なんてぼやいていた。学校のテストごときでガタガタと煩い。だいたい命にかかわるなんて思えないが、なにしろこいつは大学受験生。デイダラは一つ上の俺と同じ大学に行くためこうして勉強しているのだろうが、今頃になって騒ぐのはこいつの日頃の不真面目なせいだ。推薦ではなく一般受験で一本でいくしかないから大変、らしい。 「いいよなー頭がいい人は、うん」 そう言いながらちらりと俺を見る。少し殺意が湧く。なんだなんだ。俺にどうしろってんだ。あからさまに舌打ちをし少し睨めば、なにかを察知した様にさっと素早く目を反らした。 「なぁ旦那ー。オイラと一緒に大学行きたいだろ、うん」 「…なんだ。つまり俺がお前に教えろと」 「さっすがオイラの旦那っ!よく分かってるじゃないか、うん」 さっきまでの暗い空気は何処に行ったのか、打って変わってぱっと明るくなったデイダラ。こちらにテキストとシャーペンを差し出してきた。俺はそれをはねのけることだってできたはずなのに出来なかったってことは俺は相当こいつに惚れ込んでいるということらしい。はぁと軽くため息をついて、 「…なぁ旦那」 「…なんだよ」 「ありがとな、うん」 いきなりの不意打ちに少し照れ臭くなったが顔を保つことができた。だが心を揺るがしてきたことに少し苛立ちを覚える。少し仕返ししてを企む。 「…なあ、」 「なんだ、うん」 「好きだ」 「え、」 「俺が直々に教えてやるんだ。ちゃんと合格して俺の所にこい」 「う、うん。」 結局は俺様の勝ち。俺たちが並んで歩く日もそう遠くはないだろうと感じた、ある晴れた寒い日の話。 END (止めない止まらない) |