「ねぇ、大輔君…」

「あぁ?なんだよ」

「大輔君はどうして僕と付き合ってるの?」


日中はガンガンと地面を照らしていた太陽は漸く傾き始め、青かった空は綺麗な茜色に染まり始めていた。今日の日直当番は本宮大輔。日直当番最後の仕事である日誌を書くためにこうして残らなければならなかった。そうなると自然と大輔と恋仲である岳も一緒に帰るために残りことになる。


二人の間にこれといった会話はない、だが大輔にとってこの静かな一時は安心できり心地よいものだった。だが、そんな緩みきった気持ちの中いきなり岳に声をかけられものだから、大輔の心臓は一瞬上と跳ね上がった。

「ど、どうしたんだよ、いきなり。」

「いいから、答えて……」


どうして、岳と付き合ってるかなんて、大輔の心の中ではもう答えは決まっていた。だが、岳のあまりの真剣な顔に加えマジマジとみてくる視線に少し答えるのに躊躇う。ましてや、大輔の性格上素直に気持ちを伝える事は難しかった。


「す、好きだから。…に決まってだろ!」

恥ずかしさのあまり言葉の最後が投げやりになってしまう。


「ふーん。そうなんだ」


そんな大輔をみた岳は、意味ありげな笑みを浮かべる。

「ななんだよ、」


岳の怪しげなその笑み。大輔は俺、変なこと言ったかよ、と慌ただしく岳に問い掛ける。その心境は不安と焦り、そしてちょっとした岳への不満だった。


「いや、ただね?大輔君の顔が真っ赤で可愛いなって」

「なっ」


机を挟んで話をしていた、岳と大輔。だがその距離いきなり詰める岳の大胆な行動に大輔の顔がますます紅く染まる。だが、そんな大輔に構わず岳は話を進める。

「それじゃあ、大輔君は僕と一緒にいて幸せ?」

「…あぁ幸せっこれで満足かよ」

大輔は自分の紅く染まった顔を隠す様に岳の方へとは向かずそっぽ向いて答える。だが、それは岳にとって気に入らない行動で、大輔のほっぺを両手で包み、自分の方へと無理矢理に向かせる。

「例えばどんな時?」

「は?……こっこうして二人でいる時……とか…かな?」


そう答えると岳はそっか、と満足そうに笑い、大輔を解放する。大輔は解放された後、暫くは唖然としたままだったが岳の言葉にはっと意識を戻す。

「さっ帰ろ!日誌終わったでしょっ」

「お、おい待てよ!何であんなこと聞いたんだ?」


この大輔の質問に岳は、帰る足を止める。

「……愛の再確認?…これじゃあ、答えにはならないかな?」

「あ、…いや」


……充分です。としか答えられなかった大輔。教室の窓から差し込まれる淡い光はまるで、二人の愛しあう心をあらわす様に少しずつ輝きを増していった。


END



(育まれる愛)





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