腹からせり上がってくるのが何かはわからなかったけれど吐き出さないと気持ちが悪くて動けなかった。でもそれが吐き出しちゃいけないものだってことは何となくわかって、必死で堪える。その分だけ身体が震えて、周りに迷惑かけてるんだって申し訳なくなった。苦笑いでも良いからとなんとか笑顔らしいものを作ってちょっと医務室に行ってきますあははなんてらしくない感じで教室を出た。教師は俺の扱いに困っているようだったけれど授業を放っておくわけにもいかない、結局教壇に戻った。クラスメイトは言わずもがな怪訝な顔でこっちを見てる。どうせサボりかなんかだろ、なんてな。まあ授業に出ないってことがサボりになるならそうだろうな、医務室になんて行けないし。視線が突き刺さるのがいたたまれないから扉を静かに閉めた。らしくなかった。
ふらふら廊下を歩く。何回か壁にぶつかって、もう面倒になって壁にずるずる沿って歩いた。肌が擦れてちょっと痛かったけれどこの気持ち悪さに比べれば百倍マシだ。ずるりずるり音を引き連れて歩いて歩いて歩いたどこかにつく前に結局倒れた。廊下なげぇよちくしょう。床が冷たい。ひんやりしてる。近距離で見ると靴底のゴムが擦れたのだろう跡がいっぱいあった。案外汚れてんのな、床。あはは奇遇だな俺も結構汚いんだよ親近感湧くなあ。冷たいな。なんか、ちょっと腹ん中の出ちゃった気がする。まずいかな。わかんないや。考えんの嫌いだ。
血みたい。ぶちぶちちぎれてる感じのとにかく気持ち悪いやつ。人間が本能で危機感嫌悪感とにかく嫌なもんだってわかるのを感じるタイプの気持ち悪いやつ。俺も気持ち悪いかな。よくわかんないけど。ひとの感覚がよくわからん。ひとって他人ってことだ。俺じゃないってこと。俺じゃないんだからそりゃあわかんないだろうけど、じゃあ雪男のこととかもわかんないのかなって思うと泣きたくなった。いや実際わかんないけど。何考えてんのかわかんないけど。一応双子だし双子だったし。泣きたい。でも今泣いたら変なの出てきそうで泣けなかった。どうしよう緑色の血とか出てきたら笑っちゃうよな笑えないけど。はは、笑いたい。泣きたいしまだ作ってない料理あるし勉強は嫌いだけどそうすることは嫌いじゃないし初めての友達ともっと遊びたいし他人と話したい。俺は結構わがままで、迷惑をかけるのが得意だ。もっと誰かに迷惑かけるのかね、確実にかけるだろうよ。あああでもやっぱまだやりたいことがあるよ俺には。まだここにいたい。ここにいたいよ。いたい。ん?痛い?
気持ち悪いのはもうなくなっていた。





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