世界がぐるぐる回っている。吐き気とちょっとした気持ちよさとが心臓のあたりに滞っている。ぐちゃぐちゃだ。自然と口角があがるような涙が出るような最低の気分だ。こんな気持ち知りたくもなかった。絶望というよりはきっとただの狂気で、いくらか見慣れてしまったそれはどちらも伝染しやすい。へらへら笑う顔を思い出しながら取り返しがつかなくなったのかもしれないとぼんやり考えた。本人は出会ったとき既に取り返しも何もない状態であったけれど、俺に流れるのだったらもうどうしようもないのだった。別に抗うつもりがない訳じゃあない。むしろ俺は抗って生きなくてはならない。それが義務で期待でなにより自分の意志だった。もう自分を見失ったりしないのだと決めたのだ。決まったことだから。ならどうして狂気に身を浸しているのかというとそれは、なぜだろう。特に理由はなかった。ただ俺に歪むつもりは一切なく、取り込むつもりも全くない。じんわり周りを囲む狂気を観察している。身体が熱い、息も熱い。胸のあたりにぐずぐず潜むものを吐き出してしまえば楽になるのだろうが、どうしてかそういう気分にならなかった。ついに口角が上がる。口端から粘ついた笑いが漏れた。気持ち悪いその声はなんだかアイツを思い出すなあと思いながら目を閉じてじっとり闇に浸かるのだった。





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