少しだけくるんと巻いた髪に、ふわふわしたシフォンスカート。ちょっとだけ背伸びして、リップクリームで唇を飾る。可愛らしいミュールを履いて、爪先はベビーピンクのペディキュアで仕上げ。
正に女の子。と言った女の子が、俺は好きだ。
(まあジーンズにTシャツとかそういうさっぱりしたのも好きだけど、初デートの時にこれ位頑張ってくれる子って可愛いじゃないか)
自分より小さな手や、低い身長、壊れてしまいそうな身体。時折見せつけられる圧倒的な差が、好きなんだ。



くるくるになっている髪は、巻いた訳じゃなく天然。センスの良い動きやすそうな服装。勿論足下はミュールなんかじゃなくて服装に合ったブーツ。
俺が好きになった人は、俺が好きな女の子像としては有り得ない人だった。
それもその筈、俺が好きになったのは、正真正銘の男だからだ。
初デート(俺がそう思ってるだけ)の時には、色気もムードも皆無だった。
(ただの友人――チームメートとしてなら当たり前なんだろうけど)
それから然り気無くアピールしてみるけど、まさか同性、しかもチームメートに好かれているなんてあっちは思ってもいないから、意味が無い作業と化した。
然り気無くしたのがいけないんだと、今度は積極的にアタックしてみたけど、やっぱりスルー。
やはり価値観を変えるべきなのかと、どうにかしようとした。結果、挫折。上手い方法が見当たらなかった。
どうしたらいいのか考えて、俺はふと気付いた。
今まで、女の子から告白されて来たから、自分から告白した事が無いのだと。詰まるところ、自ら好きになった人が居ないのだと。
経験値が多いと言っても、本当に"経験"値しか多くないのだ。情けなくて、少しだけ泣いた。

初めて好きになった人が、同性で、チームメートだなんて。
この恋は、不毛過ぎた。不毛と言うよりも、叶わぬ恋だ。
最初から負ける事が決まっているなんて、酷すぎやしないだろうか。簡単に諦めたくは無いが、諦めざるを得ない状況に追い込まれてしまった。
しかしその前に、砕けてみようか。
当たって砕けろ、どうせ儚く散って行くしかない想いなら、ぶつけてみよう。
そう心に決めて、1ヶ月経った。しかし俺はまだ、砕けられないらしい。
経験値ほぼ0な俺が、急に本気で告白とか出来る訳なかった。

ただ一つ言える事は、



俺、フィディオ・アルデナは、恋をしています。
女の子じゃなくて、男に。










(あー、もう、もうやだ)










→片想いばっかでマルコ出なくてやんなる

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