level_9

資料を片付け、部屋を出ると、目の前にブレザーの胸元。恐る恐る目線を上に持っていくと。

「伊勢谷副会長……」
「やあ、遅くまで大変だね」
「ど、どうしてここに?あっ、部屋を使われるようでしたら、今終わったところなので」
「いや、大丈夫。」
またあの眼鏡越しの、何を考えているのかわからない目で俺を見る。

「あの……何かご用でしょうか……?」
そろそろ、下校時刻を知らせる鐘が鳴ってしまうのだけれど。

「君は本当によく頑張っているね」
「いえ、俺はそんな……会長のお役にたてるだけで結構ですから。」
「そんなに恵斗のことが好き?」

……はい?

「あの、どういう意味で……」
「傍から見ていてもよくわかるよ。君は素晴らしい」
「はぁ」
「実に献身的で、聡明で、下を取りまとめる能力もある。恵斗の下に置いておくには惜しいね」
褒められているのは分かったが、会長の立場をを下げてまで称賛の言葉は欲しくない。

タイミング良く鐘が鳴る。失礼します、と一礼して俺はその場から去る。

「森垣くん、か。気の毒に」
呟きは、人気のない廊下に残された。


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