三角関係的友情的親愛_30

「だから、僕は御影くんのことはずっと面倒見のいい兄貴のように思ってて」
「うん」
「それでその、だからあくまで兄弟っていうか」
「……うん、わかった。わかった」
御影は顔を片手で覆い、もう片方の手で奈津に向かって制止のポーズをとった。なるべく柔らかく伝えようと心掛けているのはわかるが、ここでは逆効果だと、俺も思う。ぐさぐさと御影に刺さった言葉の矢が目に見えるようだ。

「……それで、俺からも言わなきゃいけないことがある」
黙って誤魔化そうかとも考えたが、御影がけじめをつけるというのなら、俺だってそうしないと筋が通らないと思った。いつか自分もそうされたように、奈津を見据える。
「俺は、奈津を恋愛的な意味で好きじゃない」
「悠くん……」
「ずっと言えなくてごめん」
頭を下げる。
「でも、言ってくれたのに、あの時」

あぁ、こんな後だしジャンケンのようなことをするのは本当に嫌だ、だけど自分のしたことだから仕方ないもんな。卑怯さの罪悪感と、しかし言わなければならない義務感とでまた揺れ動く心を感じながらも、悠樹は言葉を発する。
「俺はさっき言ったような御影の気持ちを知っていたから、奈津が大丈夫かどうか……」
「試そうとした?」
「言い方は悪くなってしまうけれど、つまりそういうこと」
「そうだったんだ」
「本当にごめん」
淡々と言う奈津に、もう一度頭を下げた。

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