三角関係的友情的親愛_28

しまった、というような顔をする御影。そう、それでいいんだ。突然俺なんかに奪われて、それで相手も幸せそうなもんだから、辛かったんだろ、悔しかっただろ。酷いよな。
「……俺はお前になんて詫びればいい?」
謝ることしか出来ないと、思った。しかし、返ってきた答えは予想外のものだった。
「何もしなくていいよ」
「なんで、」
「元はといえば、俺の言葉が足りなかったんだ、ごめんな」
そのせいで勘違いもさせた。でもお前は俺のためを思ってしたことなんだろ、だったら何も言えねえよ。そう御影は言った。

「なんで……」
悠樹が二度目に口にした言葉には、複雑な思いがこもっていた。どうしてそうやって考えることができるのか、俺のちっぽけな罪悪感や優越感を軽々と飛び越え、幼稚な俺たちに比べ一段大人のところから頭を下げてくるような。もっと怒ってくれた方が、詰ってくれた方がどれだけ加害者意識に甘んじて逃げられたことだろうか。その、唯一といっていいほどの道すらも申し訳なさそうな顔をして塞いでくる。
しかし、それらの思いが御影に対してあらわされることはなかった。

「俺、けじめつけるよ」
「けじめって」
「わかるだろ、悠樹」
何とも言い難い表情でこちらに目を向けた瞬間、昼休みの終了を告げるチャイムが鳴った。


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