三角関係的友情的親愛_26

「……今なんつった?」
昼休み。教室の隅に机を挟んで向かいあい、御影は口から食べかけのパンを落とした。
「だから、奈津に襲われかけたって」
「なんで」
「話すと長くなるんだけど……」
パンを拾い、こちらを睨みつける。わかった、わかったよ。

「デートした、その帰りに奈津の家行った、それでっていうこと」
「は、よかったじゃねえか」
鼻で笑い、嘲るような悲しんでいるような、微妙な顔をする。御影は窓の外を見ながら、恋人同士なんだろ?と続けた。
「……そうなのかな」
「どういうことだ」
二度目の睨み。

多分これを言ったら御影はさらに顔をゆがめるか、俺のことを軽蔑するんだろうな、と思いながら口を開く。仕方ない、どんな話題だって、俺には相談できる奴はこいつしかいないんだから。
「……俺、奈津のことは好きじゃないんだと思う」
「ふっざけんなよ!」
バンッ!と机を叩いた音に、教室が一瞬静まり返った。
ばつが悪そうに御影は辺りを見回し、曖昧な笑みを浮かべる。もっともそれは、俺の方に向いた頃には怒りの表情に変わっているのだが。
「……お前、言っただろ。好きって」
「言ったよ」
「だったら!……だったら、何でそうなるんだ」
一瞬、語気を荒げたものの、さっきのことを思い出したのか小声で言い直す。
何て言えばいいのだろうか。お前のために嘘をついて奈津を傷つけた?だめだ、きっと殴られる。最低だ。最初はその気だったけど気が変わった?もっと酷過ぎるだろ。上手い言葉が思いつかず、結局俺はありのままを伝えることにした。


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