三角関係的友情的親愛_25

「本当に好きなの?」と奈津は言った。
誰を?もちろん奈津のことを、だろう。好きか嫌いかと問われたら、好きと即答する自信はある。しかしそれは親愛の情といった類の、どちらかといえば友達や家族に向ける好意であって、恋人関係のそれとは性質が異なるものだ。さっき奈津に襲われかけた時も、不快感はなかったが、かといって相手が感じていたのと全く同じ感情を共有していたかと言われれば、違う。

好きだけど好きじゃない。

この場合、どう返答すればいいのかと考えて口を閉ざす悠樹に、奈津はさらに問いかける。
「僕たち、付き合ってるんだよね?」

そう――と言いかけ、いや待てよ、と思う。そもそも奈津が俺を好きと言ったのは、俺が告白のようなことをしたからで、それは奈津のことが好きな御影が、万が一にも酷く断わられて傷つかないようにするためだ。ためしに聞いてみたつもりがなぜかそのまま展開し、雰囲気に流されてデートとかしてみちゃったけれど、俺、本当に奈津とこういうことがしたかったのか?

「……好きだけど、そういうのでは、ごめん……今は言えない。」

奈津の顔を見なくてすむように目を合わせないようにしながら、そう告げるのが精いっぱいだった。
御影のために嘘をついた、などと言えるはずもなかった。


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