三角関係的友情的親愛_24

「き……キスだけって言っただろ!」
「あ痛っ!」
はずみをつけて身体を起こすと、そのまま奈津のおでこに思い切り頭をぶつけてしまった。申し訳ないと思いながらも体勢を立て直す。

「頼むから落ち着いてくれ、な、怖いから」
まだ瞳に情欲の残る奈津を、小さい子に言い聞かせるようになだめる。
「……ごめん」
「いやまぁ、うん、わかってくれれば」
一気にシュンとしてしまった奈津(ちなみに俺の息子も、である)は、カーペットの裾をいじりながら弁解した。
「やっぱり好きな人と二人きりになったら歯止めがきかなくなるというか、据え膳食わぬは何とやらというか……確かに、ちょっと急ぎ過ぎたかなとは思うけど。ごめん悠くん」
とりあえず前半部分はともかく、後半の謝罪は受け止めておこう。

「……今日は遅刻するし、さ」
「うっ」
それについては本当に悪いと思ってるって!

「怒ってないよ。でもね、不安になって」
「不安?」
予想外の返答に、悠樹は怪訝な顔をする。
「いつも通り三人一緒に行動したがるところとか、距離感が友達みたいとか……」
「うん」
すっかり毛羽立った裾をよりあわせながら続ける。

「本当に好きなの?」
そう言って、奈津は顔を上げた。

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