三角関係的友情的親愛_9

月曜日。いつものように三人が合流する場所に行くと、そこには奈津だけが立っていた。
「あれ、御影は?」
「なんか朝早めに行ってやることあるらしいよ。一緒に悠くんのこと待とうって言ったんだけど……」
どんな顔をして会えばいいのかわからず学校を休んだ俺だったが、それは御影の方も同じらしい。いや、まだ時間をずらしているだけなぶん、こちらの方がマシか。
「そうか。待たせてごめんな」
「!ううん、全然」
詫びの気持ちを込めて、そろそろ背を抜かれそうな奈津の頭を軽くぽんぽんと叩くと、妙に嬉しそうな調子で返事をした。その様子に、自分への好意を改めて思い知り、伸ばした手が強張る。

「……あの、悠くん」
「どうした?」
「今日も一緒に帰ってくれるよね?」
「いつものことだろ、何だよ今更」
校門まであと少しというところで、奈津は歩く速度を遅くした。もっと二人の時間を長く過ごしたいと、意志表示をするかのように。
それに気づかず悠樹はずんずんと歩を進め、二人の距離が広がる。
「ううん。……教室で待ってるね」
「わかった、御影と迎えに行くから」

二年生の教室へ向かう奈津と別れ、悠樹は何気なく窓の外に目をやる。春に満開の桜並木だった道は新緑へ変わり、散った花弁は茶色く変色していた。


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