ええ!?何だい君達付き合ってもう一年も経つのにまだキスもしてなのかい!?わあ驚いた僕は信じられないよ!世の中にこんなにも人間の本能に逆らいながら生きている少年がいるなんて!パットフット、君ってば男失格だよ!一体どうしちゃったんだい!君のその股間についているものは飾りだったのぐはあっ!!
取り合えずどこからともなく飛んできたエンバスの飛び蹴りを顔面に受けたジェームズはその後ぴくりともしなくなった。お前だって一体何年エンバスにスルーされてるんだ人のこと言えるのかこらあ。
まあ確かに。付き合って一年になる俺達はまだキ…キスをしていない。え?だってほらあいつの顔がこんな近くにあるとか無理だ。死ぬ。多分。
「え?何それあたしとキスしたくないってこと?」
「いや違う!断じて違う!」
「なんだよかった」
「え?」
「だってシリウス本当にあたしのこと好きなのかな?って思ってたから」
「ば、馬鹿!す…すすす…好きだ!」
「うん吃りすぎじゃないかな」
「俺かっこ悪い…」
「今更じゃん」
あははと笑う顔は天使みたいでその笑顔を向けられる度に心臓がめちゃくちゃになってるんだ…キスするなんて…そんなことしたら俺はどうなってしまうんだ?
「シリウス?ねえシリウス?」
「…何だよ」
「こっち向いてよ?」
「無理」
「何で?」
「俺多分今、顔すごいことになってると思う」
「元からじゃあん」
「…お前酷くないか?」
ばーか。
チュッ
「っ!!」
「お!やっと向いた!」
ほっぺにぷにいっとすっごい柔らかいものが当たった!振り向くと、すっごい近くに、天使の笑顔…
え?今…俺…
「キ、キキキ…!」
「こんなのキスに入らないよ?」
その後、遠退いていく意識の中で俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
頬っぺにKiss