「ほら、起きろ」
「ん…」
優しい声が降り注ぐ。ああきっともう朝が来た。隣で寝ていた彼がやんわりと私の肩を揺さぶる。
やだ眠い。昨日はあなたのせいで中々眠れなかった。(正確には眠らせてくれなかった)なのにあなたはいつもと変わらない調子でその低く冷たい、でもとても甘い声を出す。
諸事情の後の朝、少しだるい。
「起きるんだ」
「ふっ……」
耳元で囁かれる。息がかかってくすぐったい。彼の鼻先が首元に当たる。思わず少し身を縮こませると、やれやれといった彼のため息。それもどこか愛しい。
「いい加減起きたまえ」
「嫌よ。誰のせいよ」
「誰だと言うのだ」
「あなたに決まってるでしょセブルス。他に誰がいるっていうのよ」
「はて、思い当たる節が無いのだが」
「嘘つき」
目を開けて顔を彼の方に向ける。いくつかボタンが開けられたワイシャツから覗く白い首。そして口元が緩んだ、優しい笑顔。思わず私も笑った。
「ほら、いい加減起きるんだ」
「ん…セブルス」
チュッ…
長い長い、キス。
「…寝起きのキスは嫌いじゃなかった?」
「さあな、」
あなたのキスで目覚める、ある甘い朝。
唇にKiss