今年初めての雪が降った朝だった。


張り詰めた空気の中音もなく降り続ける雪の白さがあなたの背中をずっと小さく見せる。黒く縁取る肩がもうずっと動かない。頭に微かに降り積もる雪も気にせずただしん、とそこにいるあなたは今何を思うのでしょう。よく目を凝らしていないと息をしているのかもわからない程、私達の間に降り続く雪のせいでこんなにも近いのにあんなにも遠く感じてしまう。あなたの心はいつになってもどこにも見当たりません。



「教授、」



いつになっても、ではなくそれはあなたが言うように永遠に、見つからず届かないものかもしれません。


「スネイプ教授」


彼の名前を呼ぶと白い息が生まれては消える。
小さなそれこそ真っ白な墓石の前であなたはいつまでもいつまでもそうしているのですね。その胸の前で絡め合わせた手がただ寒さをしのぐためならどんなによかったことか。でもそれは祈りの姿にしか見えません。神に誓わぬあなたなら誰に誓うというのでしょう。そんなの答えは見え透いたものでしかないけれど。そしてあなたの足元に目をやる。この景色と同じ色。いや、あの人の肌と同じ色、美しい百合の花がいっぽん綺麗に添えられていて。それがまた何とも私の涙を誘います。ねえ彼女はどんなふうに笑いましたか?どんなふうにあなたを呼んだのですか?どんなふうに愛を、あなたに与えてくれたのでしょうか?私にはきっとずっとわからぬと言うのでしょうか。








「セブルス」





どうかどうか、
振り返らないでください。





ざ、と音がして彼の細く骨張った黒い肩から雪がはらはらと落ちて足元の百合が優しく揺れた。雪の向こうの彼は目を凝らして私を見ていた。その瞳は驚きを隠せないとばかりのものでそれがまた私を締め付ける。冷たくなった自分の手がひりひりと痛むのを感じた。ず、と鼻をすすれば赤くなったであろう鼻を見て少し呆れた顔をした教授がため息をついた。彼は何も問い詰めなかった。ただ色を燈した目でどこかを見ていた。涙など浮かべずに。

教授、いえセブルス、あなたが泣けないのならば私が泣きます。ですからその胸のうちをどうかお話ください。そして何かを誓うなら私はあなたに誓います。この冷たい手を絡め合わせ目をつむりただ切に誓ってみせます。神などではなく、それはまさしくあなたに誓いましょう。ですから、ですからあなたは、そんな顔をしないでください。




「みょうじ、」




頬をつたう涙はこの天気のせいかとても冷たくなった頬を溶かすように暖かいもので、息をするのも思わず忘れそうでした。その涙と同じくらい暖かく穏やかな声で私の名前を呼ぶあなた。そうそれは優しさなのですね。


そうあなたが永遠に愛するというあの人は、この雪の白さにあなたの内に秘めたその優しさを足したようなそんな肌をした人でした。


風邪を引く、帰りましょう暖かいところへ





瞼の裏にはいつもベビーピンクの肌をしたあの人、



***

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