なんだか最強におかしいと思った。自分は病気なんじゃないかと思った。訳もわからずもやもやする特に頭の上の方。正体不明のとっても大きくて重い塊が頭の上に巣を作ってそれは拡大を止めない。取り合えず重い。すごく鬱陶しい。何この怪人もやもや。
取り分け今日は特別にいい日でも特別に悪い日でもないはずだ。天気だって曇っているけど季節らしく大分涼しくなってきた。爽やかに朝食を食べて「今日はなんだか静かだな」と朝のブレイクタイム。ちょっと苦手な魔法薬は先生が急用らしく自習になって図書館でうたた寝してた。占い学で出た今週の運勢は「中吉」だった。「何だかちょっぴりセンチメンタルになったりするけれど心配しないで!それは幸せの暗示!」取り合えずラッキーアイテムはマスクだったけれど仮装パーティーがあるわけでもないので生憎持ち合わせていなかった。お昼は相変わらずジェームズがリリーをデートに誘っていたけれどそんなジェームズの口に生玉ねぎを押し込むリリーは楽しそうだった。ジェームズは泣いていたけどあれは多分嬉し泣きだよね?っていう話でリーマスと盛り上がった。そういえばピーターは自分の食事が終わるとお皿に一人分の食事をよそって寮の方へ向かって行った。どうしたんだろう?午後の魔法史学は本当は退屈でいつもは寝ちゃうんだけど今日は自習時間に寝ちゃって目が冴えていたから取り合えず起きていた。ただ起きているのもあれかなと思ったから黒板を写してみた。そしたら後ろから肩をトントン、と叩かれて振り返ったらピーターがいた。何だか目がとろんとしている。「どうしたの?」と聞いてみたら「悪いんだけど…なまえ大丈夫そうだから…その…ノートとってもらっていい?僕…限界で…」と言ってピーターは今にもくっつきそうな目をこすって笑った。ちょっと考えてめんどくさいなと思ったけどまあ後で何かお返し付きでお礼を貰おうと考えて「いいよ」と言った。ピーターは「ありがとう助かるよ。僕…殺され…ちゃう…」と言って眠りについた。全くピーターったらもう夢の世界に入ってるみたい!そして夕食の時間。またしてもリリーを夜のデートに誘っているジェームズ、そのジェームズにトマトを口に詰め込んでいるリリー、あ今咳した瞬間ちょっと鼻からトマト出てたよジェームズ汚い…。そんなジェームズにティッシュを渡している時、「何だか変だ。いつもと変わらないのに…何だろう?」ともやもやが正体を現した。おかしいな、今日は何だか…ちょっと静かだ。別に静かなのは嫌いじゃないいつもは賑やかすぎるから。でも何でだろう?うーんうーん、とチキンを食べながら考えてみた。…うん今日のチキンは中々おいしい。特にこのあっさり系のソースがよく染みていて私好み。シリウスもチキン大好き人間だからわかるだろう。今日のチキンは星三つだね!「ね!シリウス!」と隣の肩を叩いた。





「………え?」





ぽかーんと口を開けているのはピーターだった。

「あれピーター?シリウスは?」

「何言ってるんだいなまえ」

と前に座っているリーマスが笑った。何ってシリウスは?いつもなら隣にいるじゃん!そんでその隣がピーターで…あれ?そういえば今日はシリウスに会っていない気がする。


「シリウスなら、風邪を引いて今日は一日寮にいるだろう?気づかなかったの?」

「え?嘘そうだったの?」

リーマスは相変わらずおかしそうに笑った。その隣で急いで夕食を食べ終えたピーターがまたお皿に一人分の料理をよそっている。ああ、それはシリウスのだったんだ。するとリーマスが「ああそうだ」と何やら閃いた!とでも言うような明るい顔になった。

「なまえ、君がシリウスに届けてくれるかい?」

そう言ってピーターからお皿を受けとったリーマスが私に差し出して来る。え私?そういう顔をすればまたにっこりと笑うリーマス。「ついでに魔法史学のノートも見せてやってくれよ」とウインクされた。「ごごごごめんね…!僕が頼まれたんだけど…眠くて…」とピーターはもじもじしながら言った。ちょっと考えた。…めんどくさい。


「今日のなまえはなんだかセンチメンタルだろ?それもシリウスに会ったら直ると思うよ」


なんだそれ?でももう一度よく考えてみた。…やっぱりめんどくさいなと思った。思ったけどピーターに魔法史学のノートをとってと言われるよりはめんどくさいないと思った。それにシリウスにこのチキンを食べて貰いたいと思った。なんてったって今日のは特においしいんだから!


「じゃあ行ってみようかな?」

そう言ってお皿とノートを持って立ち上がると「あ待ってなまえ」とリーマスに何か渡された。「移されたら困るだろう?」と言って彼が渡してきたのはマスクだった。ここで登場かマイ・ラッキーアイテム。取り合えず装着。














コンコン、




「ズビー!…はーい?」


シリウスの部屋の中から豪快な鼻をかむ音と一緒にいつもより小さな本人の声が聞こえた。あ、本当に風邪だったんだ。


「シリウス?」

「…え?なまえ?」



ベッドには冷えピタをしたシリウスがちょっと赤くなった顔を覗かせた。


「ちょ!何でお前が!てかわーわーわー!ナニコレ夢?熱のせいで俺おかしい?」

「シリウス落ち着きなよ熱上がるよ。はいご飯」

「わー夢じゃない!てかさんきゅ」

「うん今日のチキンは結構いけるよ!」

「うん俺もイけそう」

「え?何?」

「何でもないっす」


ベッドに正座したシリウスは何だか変だった。「それから魔法史学のノート」と言って渡すと「お、おう。さんきゅ!」とそれを抱きしめた。やっぱり変だ気持ち悪い。


「ヘタレでも風邪引くの?」

「俺ヘタレじゃねーよあと風邪引くよ」

「そっかあ。あカボチャジュースも飲む?」

「うん飲む」




それから少しの時間だけどシリウスと今日の話をした。いつの間にかシリウスはご飯を全部食べ終わってたけどでもまだ話したりないからとりあえずみんなが戻って来るまで話てよっかな?と思ったらいつの間にか消灯時間を過ぎていた。


「うわ!もうこんな時間だよ!」

「あ!まじだ!みんな遅いだろ」



その時私は自分に起きた異変に気づいた。あれれ?いつの間にか頭が軽くなっている。もやもやも消えてなんだかスッキリした気分。変なの。やっぱり私どこかおかしいのかな?


「ねえシリウス、私病気かも…」

「は?何で?風邪移った?」

「違うよ、あのね」


シリウスに全部を話した。シリウスはうんうん、頷いてちゃんと聞いてくれた。それから全部を話し終えたら少し黙って深呼吸をしてた。


「シリウス?どうしたの?気分悪い?」

「いや!大丈夫!むしろちょっとよくなったというかドキドキしたというか…」

「え?」

「つまりなまえさ、俺に会えなくて…寂しかったってこと?」




…………え?
そんなわけないじゃん!確かに今日はやけに静かで朝はそれでとっても爽やかだなって思ったけどでもやっぱり静かなのが変だなって思って、それでリーマスにシリウスに会いに行けって言われて最初はめんどくさかったけど実は来る時早く会いたくて小走りで来ちゃって、それからシリウスの顔見たらなんだか自然と笑っちゃって、チキン食べてるシリウスはやっぱりかっこよくて、喋ってる間時間を忘れるくらい楽しくて、あれ?何これなんか変な方向に行ってる気がする。

私、もしかして寂しかったのかな?

「寂しかったんだと思います」

「俺も寂しかったです」


シリウスは真剣な顔になった。顔がさっきより赤くなった。でも私も顔が熱くなって多分赤いと思う。でもマスクしてるからシリウスの風邪が移ったわけじゃなくてつまりこれはそれなのです。




「キスしていい?」

「う、うん」

「今日は、マスクの上からで我慢するから…」

「う、うん」



もやもやにあなたを足したらドキドキになるみたいです。




君色
(LOVE IS ALL YOU!!)






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