みなさんこんにちは、僕はレギュラス・ブラックと申します。突然ですが僕は最近とても困っていることがあります。よろしければ聞いてください。
僕は言わずもがなスリザリン寮に属しているわけなんですがうちの寮の印象といえば、真面目で陰気臭くて、鼻に掛けたような奴らばっかでいきすかないと思われる方も多いと思います。まあ大体はそんな人ばっかりなんですがやっぱり人間ですもん十人十色と言いますか、こんな寮でも少し変わった人だっているんですよ。
その中でも変人の中の変人と称されるのが僕の丁度真ん前にいるなまえ・みょうじ先輩なんですが彼女はスリザリンの変人と言われるくらいですから何が変なのかと言いますとまずスリザリンらしからぬ言動や行動。どっかの赤い寮の何とかっていう馬鹿ばかりやっているグループの方が絶対彼女には合ってると思うんです。ほら言葉使いとかもおかしいですし「レギュらん、そこのお菓子取ってハムニダ?」…ああこれですかひょいっ。「あざーす」…何か先輩泥だらけだしローブとか泥だらけだしよく見たらほっぺにも土付いてるし。何したらあんなになるんだかてか先輩いくつですか。そして先輩は僕が投げたお菓子をもふもふ食べながらさっきから羊水紙に何か書いていますあーお菓子ぼろぼろ零してるし。何ですか先輩まさか珍しくお勉強でもしてるんですか明日は空からルシウス先輩が降って来るかもしれませ「呼んだかねレギュラス?」あれ?ルシウス先輩いつからいたんですか?「いやずっといたじゃないか!ずっとなまえの隣で本読むふりをしてずっとなまえの可愛らしい横顔の特に長い睫毛を見ててだね」ああそうだったんですか。でもほらルシウス先輩って存在が…ねえ「え?何だって?」それよりルシウス先輩、さっきからなまえ先輩は何をされているんですか?「ああそれは私も気になったんだが彼女見せてくれなくて」使えない「何だって!?」もう結構です。ほら先輩がいると僕の視界が汚れますからちょっと避けといてください「な、酷いぞレギ」ああ、この人もすごく変わってますっていうかルシウス先輩は変わってるっていうよりウザくて有名な方です。確かに一応監督生だから成績はいいんでしょうけど性格は地をはいつくばって最低です。いい家柄なのとか鼻にかけちゃって僕だって負けてないんですがほらなまえ先輩とかそんなこと気にしないと思うんですよ。最近なまえ先輩は「平等」という言葉を覚えたらしくよく言っています。だからルシウス先輩のこともあまり好きじゃないみたいです。「うわああああ」ちょ、いきなり奇声上げないでくださいよルシウス先輩って…あれどこかに行ってしまわれましたねどうしたのかな。まあいいや話戻しますねなまえ先輩、いったい何をしているんでしょうか。


「はいなまえ先輩チョコです」

「…お!レギュラスありがとん!…あれ?さっきまでそこにルシウス先輩いなかったったっけ?」

「きのせいじゃないですか僕の視界には入ってませんでしたよ(汚れるし)」

「よご…何?最後の方聞こえなかった」

「気にしないでください」

「うむ」

「ところで先輩はさっきから何をされているんですか?」

「いやちょっと手紙をゆでているんだよ」

「先輩手紙はゆでるものじゃないですよ綴るものです」

「そーなの?勉強になるなあ」

「そんなんで大丈夫なんですか手紙書けてるんですか?」

「んー大丈夫だよ!ところでレギュラス、火星って哺乳類?」

「いや違うでしょう何言ってるんですか。ものすごくザックリ分けても絶対生物じゃないと思います」

「あれ?そうなのか。じゃあホクロっておいしいよね?」

「もう本当に何を言ってるんですか。多分僕の知る限り正常の人間だったらホクロを食したりしませんよ。仮にすごく変わってる馬鹿な人、そうですね例えば兄さんとか兄さんとかシリウスとか兄さんだったら考えられますけどそんなことしちゃ駄目ですよあと多分おいしくはないと思います!」

「…わかった。シリウスはおいしくない、と」

「先輩そこしか聞き取れなかったんですね」

「ちょっとムツカシかった!」

「てか先輩一体どんな手紙を誰に書いているんですか。きっと貰った方が正常人だったら意味わからくて読む気失せると思いますよ。ちょっと見せてください」

「だっ駄目!ここここれは…デブ・レターなの?」

「え?デ…何ですか?」

「あれ?ドブ・レター?ハブ・レター?ナニ・レター?」

「もしかしてラブ・レターって言いたいんですか?」

「そうそれ!」



へーそうなんですかふーん。



何だって?



「つかぬ事をお聞きしますが先輩、どなたにあげるんですか?」

「そ、それは恥ずかしくて言えないよ!」


何だこの反応は!先輩は馬鹿だから本当に馬鹿だからだからラブレターなんて「え恋?なにそれ美味しいの?」とか本気で言っちゃうような人だから。なのにそんな先輩に思い人がいたなんて!ちょっとすいませんキャラ崩壊気味ですね。そりゃあ僕だって驚きます。
てゆうか本当に誰に出すつもりなんですか。僕は僕は、



「せんぱ、」


その時いきなり先輩は動かしていた羽ペンを止めて顔を上げた。何だろうと不思議になり彼女を見ていると「来た」と小さく呟いた。来た?一体何が?彼女はドアの方へ目をやった。するとしばらくするとそのドアが開かれた。入ってきたのはスネイプ先輩だった。
…え、先輩スネイプ先輩が来るのがわかったっていうんですか。何という動物的本能。



じゃなかった。


「スネイプ!」

「わ!何だお前ドアの前で」

「スネイプの足音がしたから!スラグホーン先生の呼びだし何だった?お説教?」

「お前と一緒にするなみょうじ。なんかこの前の授業で使った薬草がうんたらかんたら」

「ふーん!あ、はいこれ」

「お前…また書いたのか」

「うん!ちゃんとお返事頂戴ね」

「いやお前の手紙読むの本当に大変なんだあっちこっち話が飛ぶし結論がわからない」

「え?結論なら簡単だよ。スネイプが好きってこと!」



その会話の一部始終、を見なくたって僕はなまえ先輩がスネイプ先輩を好きだということがわかった。だって僕はなまえ先輩みたいに馬鹿じゃないし。
なまえ先輩に「好き」と言われたスネイプ先輩は若干わなわなしていた。僕はそんな二人に背を向けて自室へと向かった。なんだかすごく馬鹿らしく思えた。意味のわからない手紙を書いているなまえ先輩も何だかんだそんな先輩にちゃんと手紙を返しているスネイプ先輩も。人間って不器用だな、て思った。

つまり僕が困っていることとは、そんな不器用な人間でもある僕はどうやってなまえ先輩への思いを断ち切ればいいかってこと。











(でもまだ好き、です)


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