くぅん、と甘ったれた鳴き声を上げながら私を起こそうとヘルガーが鼻先を布団にうずめて私の脇腹を突くように揺する。
あぁ、いつもより乱暴じゃないか。今日は休みだというのに。
わざわざ早く起こさなくともと思いながら微睡みつつも、ご主人さまに似たのかお前は律儀でいい子だねと傍らに擦り寄る頭を撫で上げる。
起きる意志の全くない私に諦めがついたのか、ヘルガーは毛布から這い出たかと思うと器用に前足をドアノブにひっかけ部屋のドアを開けて出ていった。
「ナマエ、いい加減に起きなさい。」
「まだ寝かせてて下さいよ。」
なんだ、諦めた訳ではなくて自分のご主人さまに自分ではどうしようもないと私を起こさせる為に戻ったのね、納得。
私の意識はアポロさんがやってくる前あたりから完全に覚めてしまったが、未だ暖かい布団から出る気なんて毛頭ない。
春眠、暁を覚えずとはよく言ったものだと心から思う。
「今日は私も暇なんですから、一緒に買い物にでも出掛けませんか?」
そんな事を言われたら寝たふりも出来ない、まんまと布団から出ていくしかないじゃない。
だけど、あぁ、やっぱり布団から出るとまだ肌寒い。ベッドから着いた床はつま先を冷やす。
「朝食は待っていてあげますから早く着替えて来なさい。」
スリッパの行方を片足で捜しつつ、あの服を着たら彼は喜ぶかななんて思いカーテンを開く。快晴。
(am06:55 私の休日が少し早く始まったようだ。)
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