ガリッ………
「っ…」
ふかふかのベットに安眠状態で寝息を立てていたルノンの首筋を痛みが襲う。
「やッとお目覚めですかァー?クソッタレが…」
何事かと思いうっすらと重たい瞼を上げれば、頭上から一方通行の皮肉染みた声が降ってきた。
「むぅ…痛いです一通さん」
いつもと変わらぬ無表情に感情のない声で言い放つと、未だピリピリと痛みが走る首筋を擦る。
ルノンの上に覆い被さる様に四つん這いになっている一方通行が嫌らしく笑う。
「せッかくこの一方通行さんが起こしてヤッてんのになンなンでしかァーその態度はァ」
「特に意味はありません…」
「あァ?随分と態度がでかくなりヤがッて…こりャお仕置きってヤツが必要かァー?」
ルノンの顔に自分の顔を近づけ、より一層笑う。
枕に沈む頭を両手でガッチリ固定して、唇を重ねた。
「ふ…ぁ……ん、」
「…ン」
ガリっ…
「っ…ん!」
両者の口内に鉄を舐めたような味が広がる。
ふ、とルノンの唇から一方通行の唇が離れた。
「…はっ、ぃた…いです」口内で噛まれたのだろう舌を小さく出す。
ルノンは少しだけ眉を潜めた。
しかし、だからどうしたと言う様な表情を見せルノンの首筋に顔を埋め、耳の方向へと舌を滑らせた。
首筋付近が妙に弱いルノンはビクッと肩を揺らしすと、更に首をすぼめる。
瞼をギュッと閉ざし堪えようとするが、どうしても身体は言うことを聞かず過敏に反応してしまう。
「お仕置きだッてェーのになァーに感じてンだよ淫乱」
「いん…ら?」
どう言った意味かと聞きたげに肩で呼吸しながら上昇した顔で首を傾げる。
意味知んねェーのかと呟いては耳裏に舌を這わせて喋り出した。
「こう言う事に、だらしねェーってことだッつーの…」
そう言って、ルノンの赤くなった耳を甘噛みする。
「ひゃ…っ」
そのまま舌を耳の中へと滑り込ませた。
空いている手がルノンの胸を大きめのYシャツの上から揉みしだく。
「あく…せらさんっ!ひ、ぁ…」
耳から口を離し、触っている胸のもう片方の突起をYシャツ越しに噛んだ。
「やっ…ぁ!ふ、ぁんっっ!」
Yシャツ越しの何とも言えないもどかしさに身体を捩るが、一方通行からは逃れられる筈もなく…ビクビクと身体を揺らすことしか出来ない。
「やッぱし淫乱だなァールノンちゃんよォーえェ?」
カリっ…と加減を加えながらも犬歯を立てる。
その度に一々反応するルノンが楽しくて堪らないと言うように繰り返し繰り返し同じ行動をし続ける。
「あ、ぅ…身体 が、熱い…です、ひぅっ!」
ルノンが今まで感じたことのない感覚に、異変を訴えた。
小刻みに震える身体を…手を伸ばし、異変への恐怖に一方通行の服を掴んでいる。
「………」
珍しく不安そうな顔をするルノンをジッと見て、胸から口を離し綺麗な長い髪に指をそっと差し入れた。
どしたかと言う顔で一方通行の顔を見上げる。
その気はないのだろう上目遣いは普段あり得ない程幼さを感じさせた。
何となく気が引けるが、再び首筋に顔を埋める。
そして――――…
ガリっ……!!
「っ…」
ルノンの首筋に、血の滲んだ歯形がくっきりと痕を残した。
噛む
(これが君への)(愛の印だ)
110206