今は何時か、とさりげなく時計に目をやる。 仕事の時間までもう大して余っていない。 「ちょっち出掛けてくるわ…」 ソファの上で自分の隣に座るルノンへ一言声を掛けて立ち上がる。 「…はい」 此方に目も向けずにルノンは応える。 その態度にムスッとした顔をして玄関の扉を開けた。 「あー…イライラするわ…」 如何にも不機嫌そうな顔でポツリ呟いた。 *** 今は何時か、と今日も時計に目をやる。 仕事の時間まで大して余っていない。 「行ってくる…」 昨日と同じ様に、ソファから立ち上がり言う。 どうせ態度が変わる筈なんてない、と今日はルノンに振り返らず玄関へと直進しようとする。 グイ――――… 「…?」 いきなり服の袖を引かれる感覚に、驚き振り返った。 次の瞬間垣根は目を見開くことになる。 「っ…」 「行かないで、下さい…」 ソファに座っているルノンの悪意のない上目遣いに、自分の服を掴む小さな手。 プラスして恥ずかしそうに頬を紅潮させた顔が、垣根の胸を射抜いた。 「えっ…何コレ…美味しそう食べていい?」 比喩的な言葉でルノンに問いかけるが、ルノンの返事等待つことなく頬に手を添える。 そして……… 「いっただーきまーす」 美味しくいただかれたそうです。 デレ期突入 (これはこれで) (美味です)(とか(笑)) 110208 |