朝練は嫌いじゃない。そりゃ、放課後の部活の方が、思いきり体を動かせるし試合もたくさんできるから好きだけど。日中より綺麗に澄んでいる空気の中で、跳んで跳ねて回るのはすごく気持ちがいいことだから、朝練も少しは楽しいと思う。まあ眠気のが勝るけどな。( ふぁぁ… )壮大な欠伸をひとつ。そしたら、打ち合いの相手の宍戸から 欠伸なんかしてんじゃねーよ! と怒られてしまった。



「んだよー。欠伸くらい、お前もするだろ」
「部活中はしねーよ!」
「何、朝から喧嘩してんねん…」



朝が苦手らしい侑士は、今にも眠ってしまいそうな、ぼんやりとした顔で俺たちの喧嘩を咎める。そんな眠そうな侑士にも宍戸は怒鳴っていて、結局この部活で真面目なのはコイツだけだと思った。

跡部の号令で朝練が終わって、グダグダしゃべりながら教室へと向かう。話す内容は、英語の小テストがやばいだの数学の宿題してないだの、テニスとはとてもかけ離れたものばかり。くだらない話に笑い声を上げながら歩いていると、他の生徒よりいくらか小さい後ろ姿を見つけた。

とぼとぼ歩く小さな背中も、少し跳ねた後ろ髪も、しわ一つない制服も。学校内を探せばいくらだって見付かるのに、なんですぐにアイツだって分かるんだろう。



「……岳人、顔赤いで」
「! き、気のせいだよ!」
「なら、別にええけど」



隣で歩いてた侑士が、宍戸やジローに聞こえないくらいの小さな声で呟く。思わずテニスバックで叩いたけど、自分でも顔が赤くなっているのが分かった。ニヤニヤさてる侑士がムカつく。でも、佐々木を朝から見れて、心の奥の奥の方で嬉しく思ってる自分が、自分じゃないみたいでモヤモヤした。

好きではない。なら、このモヤモヤはなんなんだろう。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -