「ん…たくさん、出してしまったので、ご主人様の、お召し物を汚してしまいました。お許し下さい…」
 大居のシャツの下腹部に散った精液を目に止め、ちゅ、ちゅ、と口づけて、鼻先を埋めながら舐めとり始める。小さな作りの頭を掴んで押し付けるようにすると、戸森は身体を震わせてまたも達した。毛足の長いカーペットの上に出し尽くすように数回扱き、大居のシャツを噛んで陶酔に沈む。
「手を止めるな」
「?」
 吐精の快楽冷めやらぬ蕩けた目が不思議そうに大居を見上げた。じっと見返すと戸森は戸惑ったように手を動かし始めたが、「あう」と声を漏らして背中を丸め、動きを止めた。
「手を止めるなと言ってる」
「あ、申し訳ございま、ヒッ、でも、ご主人様ぁ」
 散々吐き出した後の性器を弄るのが辛いことは同性なので解る。反射的に手を止めてしまう拒絶感。けれど容赦なく命令を繰り返せば、痛みと擽ったさがないまぜになったような感覚を堪えて、忠実な執事は己を嬲ることを再開した。
「つ、熱い…熱いです、あつ、ぅ」
 半ば萎えたものを扱きながらひたすらに熱さを訴えていた戸森が、ふいに目を見開いた。
「あ、ご主人様、何か、きます…」
 大居は悠然と笑みながらそれを見下ろした。涼しげな顔立ちの執事は主人に触れられもせず、己の手に翻弄されて当惑の表情を見せる。
「何か、出て、出てしまいます」
「良い。そのまま出せ」
「は、う…?」
 青年が握るものの先端から、ぷしゃっ、と透明な液が吹き出した。それは射精の勢いの比ではなく、噴出という表現が相応しい激しさで、椅子に座った大居の胸の辺りまで雫を飛ばした。青年は驚愕を浮かべるが、身体は意思とは関係なく、水溜まりを作りそうな勢いで弧を描いて小刻みに体液を放つ。
「や…やぁ…止まりません、止まらな…ァ、出ちゃう、出ちゃうっ! やだ…も、気持ちぃです、重敬さんん…っ」
「ご主人様、だろう?」
 子供時代の呼称に戻った戸森を嗜めるが、本人は尿道から潮を吹く新たな感覚にそれどころではないようだった。大居の膝に頭を預けてあふあふと喘ぐ身体を強引に引き上げ、片足を膝掛けの上に上げさせて再び挿入した。途端淫らな声を上げて媚びるように腰を揺らす、このよくできた執事に、大居は生涯暇を出しはしないだろう。

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