※閲覧注意








雨粒が窓を叩く音を聞きながら、胸に疼き続ける虚無感のようなものを埋めたくて研磨を抱き締めた。あたたかい、心地良い、なのにどうして、埋まらない。


「好き、好きだよ研磨、」


その言葉を口に出した一瞬だけは、ほんの少し疼きも治まったような、でもそれを実感しようとすればすぐに苛まれる虚しさ。苦しい。絶望にも近い果てしなく深い、暗い感情の中で、どうしようもなく足掻くのに、ねえ、どうしてあなたはこんな風にあいしてくれないの。あいして、もっともっと、もっと、汚らわしく醜くあいして。


「あいしてる、」
「うん」
「あいしてるの、」
「うん」
「あいしてる、」
「…うん」


呪文のように紡がれる彼女の声を聞いた。こんなに好きなのに、こんなにあいしてるのに。それを伝えようとしても到底その中のほんのひとしずくしか君には届かなくて。彼女が可笑しいことはもうずっと前からわかってた。切り捨てることだってできたはずなのに、震える手で触れられて求められて、そんな考えはすぐに消えていく。きっと、おれに依存する君に、おれは依存する。寄生しあって互いを苦しめながら、あいしながら。そうだ、ならこうすればいい。二人のために、このかなしみから逃れるために。


「…泰葉、一緒に死んじゃおうか」


きっともうおれも、壊れてる。




愛しいとかいて、かなしいと読む。