※セリフ量多め注意





警報警報。頭に鳴り響いたそれは危険の合図。お願いします、誰か直ちに正解を教えてください。わたしはどうすればいいのですか。


「な、俺らと食おう」
「お前らとは嫌だってよ」
「言ってねえだろ!佐和は黒尾とだけは嫌だって言ってる」
「言ってねえよ」


木兎さんも黒尾さんも、お気持ちは当然嬉しいのですがわたし的には他のマネージャーの子たちと一緒にガールズトークしながらご飯食べたいなって思うんですけど、あ、多分駄目ですねだってお二人にすごい腕引っ張られて痛たたたたた。


「音駒はいい男揃いだぞ、絶対楽しいからこっち来い」
「女に飢えてるモヒカンいるだろ、危険だ。それにうちだって赤葦とかモテるぞ!木葉も遠目に見ればイケメンだ!」
「あ、あの腕、すいませんわたしの腕が千切れます…」
「山本は離れさせるぞ、もちろん。俺の隣は固定だとして、反対は芝山とか、同級の福永か研磨あたりでいいか」
「おいおい勝手に話進めんな、佐和は俺らのとこに来るんだ。な、佐和!」
「え?あ、いやわたしは…」
「そうだよなぁ嫌だよなぁこんな変な髪型の奴の隣なんて」
「髪のことお前が言うな!」
「俺のは寝癖だっつの」


あ、もう肩外れる痛いすごく痛い。お誘いは嬉しいのですがもう少し平和な方がいいななんて多分聞いてもらえないので言いませんがええと、わたしはどうすれば。


「お前も好感度上げる気だろ、ずる賢いやつめ!」
「自爆してるぞミミズク」
「ミミズク言うな化け猫」
「誰が化け猫だ誰が」
「あの、とりあえず腕を離していただけませんか…」
「佐和は梟谷に来るんだって」
「いいや音駒だ」
「あ、あの…三人で食べるんじゃ駄目なんでしょうか…」


別にどちらかの学校の方々に混ざる必要性がないことに気付きそう呟くと、お二人は一度こちらを見たあと顔を見合わせて。


「…それもそうだな」
「ああ、そろそろ佐和が可哀想だし今日はそれでいいか」
「あはは、ありがとうございます…」


やっと解放された腕を労わりながら、可哀想だと思うならもう少し早く手を離していただきたかったな…と苦笑いをした。





「佐和、せっかくだし俺に食べさせてくれよ」
「え…あの、黒尾さん、それは…」
「ほら、あー「佐和!これうまいぞ!あーんしてあーん!」
「あ、わたしももういただいてますので…でもありがとうございます、すみません木兎さん…」
「木兎からはもらいたくねえとさ」
「自分が振られたからって八つ当たりか?ん?」
「振られてねえよお前だろ」
「俺は振られてない!」


ああまた始まってしまった…でもご飯おいしくて止まらないです。できるだけ巻き込まれないよう大人しく、存在感を消す努力をしなくては。


「佐和」
「あ、澤村さん…すみません騒がしくしてしまって」
「佐和のせいじゃないだろ。適当に流して戻って来いよ」
「はい、ありがとうございます」


やっぱり自分のところの主将が一番落ち着きます…いえ別に、お二人が悪いとかそういうことでなく。というか、さっきからやけに静かになったような気が。


「え、えっと…どうかしましたか?」
「…佐和が、普通に笑ってた…」
「澤村にあって俺らにないものとは」
「…髪が普通?」
「やめろよ寝癖だって言ってるだろ…」
「あの、わたしお二人と一緒にいるの、た、楽しいですから…」
「「本当か!?!」」
「………はい…」


ごめんなさい、ちょっと嘘をつきました。楽しいより怖いの方が大きいです。


「佐和はいい子だなぁ、うちのマネージャーになってくれればいいのにな!」
「東京来いよマジで。東京っていうか音駒に」
「…はい、また遊びに来たいです、本当に」


でも、こうやって笑ってるお二人は、やっぱりかっこいいんですよね。楽しい時間はあっという間で、だけどずっとこうだったらいいのに、なんて思ってしまうんです。





(佐和本当に帰るのか!?)
(お前が乗るバスは音駒のだぞ佐和)
(佐和は烏野のマネージャーだって言ってるだろ、お前ら)
(ずるいぞ澤村!三人もいるなんて!)
(お前のとこも二人いるだろ、音駒にはいねえんだぞ。そういうわけで佐和は俺たちの…あっ邪魔すんな澤村!)
(佐和早くバス乗れ早く!本当に攫う気だぞこいつら!!)







▽39様

お久しぶりです。時間がかかってしまい申し訳ありませんでした。なんとか完成致しました。

リクエストが黒尾さんと木兎さんに取り合われる、ということで必然的に合宿かなと思い、だったらいっそ烏野マネにしてもっと面倒くさくしてしまおう、ということでできました。いかがでしたでしょうか。

異なる高校の二人の話ははじめてでしたので、少し戸惑いながら書きましたが39様のお気に召すものになっていれば嬉しく思います。

またよろしければ、いつでもいらしてくださいね。何度もメールをくださって本当に光栄です。リクエスト、ありがとうございました。

芹沢


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