「で、あとはお肉包んで煮込むだけ。包み方は…芯のあたりに具を乗せて一回巻いたら、端っこを持ってきて…こう、こんな感じ。できそう?」
「おう、やってみる」
「ん、頑張れー」


泰葉に教わったやり方でキャベツを巻いていく。俺とは違い手慣れたように次々と綺麗なロールキャベツを完成させていく彼女を、やはりすごいなと単純に思った。


「でも驚いたなぁ、一が料理に興味持つなんて。嬉しいけどね」


屈託のない笑みに心が少し痛んだ。
…悪い、お前が思うほど大層な理由なんてない。寧ろほとんど下心だ。

事の発端は、先日のこと。たまたま見ていたテレビで料理ができる男はモテると聞き、前に泰葉が俺と何か作りたいと言っていたのを思い出した。もし、もしそういう男が好みなら…なんて短絡的だとは我ながら思うけれど。


「…うまくいかねえな」
「んー?上手だよ、でも次はもうちょっとぎゅって詰めても大丈夫」
「ぎゅっと…」


不格好な形にあまり納得できないながらも、指示されたとおりできたロールキャベツを鍋に並べる。


「あぢっ!!」
「わ、大丈夫!?」


鍋の中のゆで汁は冷めておらず、触れた指先の刺激に思わず手を引っ込めた。


「ごめん、気をつけてって言えばよかったよね、ほんとごめん…!」
「いや、大丈「こっち!冷やして!」あ、いや別に…」


俺の声も聞かずに腕を引いて、蛇口から出る水に晒される指先。小さな両手が心配そうに触れるから申し訳なくなると、あることに気付く。


「痛くない?ちょっと赤いね、とりあえずこのままもう少し冷やそう」
「お、おう…」


泰葉は気がついてないようだけれど、体がくっついているものだから俺の腕に泰葉の胸が…それと、身長差的に谷間もちらちらと…。心配してくれてるのに俺は何を呑気なことを…いやでも、ちょっとデカい、な…。


「一、聞いてる?何見て……な、ちょっと見ないでよ馬鹿!!」
「んがっ!!」


俺の目線に気付いた泰葉の硬い頭が、見事鼻にアタックしてきた。





「ごめんなさいは?」
「…ごめんなさい」
「よし、許した。じゃあご飯食べよ」


赤い血が流れた鼻と、まだ少し赤い指先と、泰葉の赤い額、それから。


「これ一が作ったやつだ。ちょっとお肉多いもん」
「悪い、適量がよくわからなかった」
「ううん、おいしいよ。楽しかったね、今日」


またやろうね、なんて言って無邪気に笑うものだから、少し顔が熱くなる。でも今日は全部全部、お前のせいにして受け入れてやる。




い、
(二人の頬が染まる昼下がりのこと)











▽肉じゃが様

ご覧いただきありがとうございます、
お世話になっております。

岩泉さん目線のラッキースケベな話とのことで、いろいろと考えたのですがわたしの好みなタイプのものを書いてみました。パンチラとかも好きなのですけれどね。

少しでもお楽しみいただけたらいいのですが…今回はリクエストありがとうございました。二度もリクエストしていただけて光栄でした。よろしければまたいつでもどうぞ、ありがとうございました。

芹沢