泥酔シンデレラ」続編。







「泰葉さん、お酒強くなったんですね」


五本目のチューハイに口をつけたとき、京治くんがそう言った。


「ふふ、ちょっと慣れた」
「飲んだくれにはならないでくださいよ」
「はいはい、わかってます」


別に特別お酒が好きだから飲んでるわけじゃないもの。本当の理由は、別にあって。


「見てるだけじゃ何もしませんよ、俺」
「見たいから見てるだけだもん」
「ならいいんですけど」


こうやって一緒にいると緊張するから
気を紛らわせるために飲んでる、なんて絶対言えない。無理、恥ずかしすぎる。年上の威厳が…!


「…でもちょっと残念ですね」
「なにが?」
「酔ってる泰葉さん、かわいかったのに」
「なっ!?」
「エロいし」
「エロはない!エロはないから!!」


恥ずかしさを隠すように一気に飲み干すと、体が熱くなった。なのに、手だけはやけに冷たくて。


「うわ、あっつ」
「京治くんの手、冷たい…」


気持ちよくて思わず握られた手をほどいて自分の顔まで持ってくると、少しだけ火照った頬にひんやりと彼の手の冷たさが広がってなんとも気分がよかった。


「あー、保冷剤」
「無機物扱いですか」
「きもちいー…」


京治くんの言葉も聞かず涼んでいると、もう片方の頬も冷たくなった。彼の手はやがて一つは首に、もう一つは後頭部に移動して、唇が触れ合った。


「んっ…けいじ、く……」
「…手は冷たいかもですけど、口ん中はそうでもないでしょ」


泰葉さんと同じで、と笑うその顔が、
わたしの体をアルコールとは違う熱で満たしてしまう。


「やめてほしい?それとももっとしてほしいですか」
「え?あ、えっと…」
「…まぁ、やめてって言われてもやめてあげないんですけど」


わたしの髪をぐしゃぐしゃにしながら、さっきよりずっとやらしくキスされて、そういえばもう京治くんの手冷たくないな、って思ったりして。もしかしてわたしの体温と交わったから?なんて考えると恥ずかしくて死んでしまいそうだったから目を閉じて考えるのを放棄した。







(京治くん、キスするときわたしの髪の毛ぐちゃってするのなんで?)
(支配者っぽいじゃないですか)
(悪役好きなの?)
(そうじゃなくて、なんか泰葉さんを自由にできる優越感、みたいな)
(…わたしはいつでも京治くんのなのに)
(……あ、駄目だもう一回しましょう)
(え、ちょ、)









▽早紀様


こんにちは、時間をいただいてしまい申し訳ありませんでした。お待たせいたしました。少しでも楽しんでいただけましたでしょうか。

今回は泥酔シンデレラの続編を、とのことでしたので前回よりも恋人らしくをテーマに。

赤葦さんも含め梟谷の方は登場シーンが他の高校に比べ少ないため、ちゃんと書けているか不安なのですが、わたくし個人としましては楽しく書けましたので満足しています。

今回はリクエストをいただきありがとうございました。よろしければまた遊びにいらしてくださいね。


芹沢


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