背の順、ってきっと大人になったら聞かないし、やることもないことだと思う。学生のうちだけとはわかっていても、学生真っ盛りのわたしには大人になったら、が果てしなく遠い気がするのです。




「はい廊下に並んで、背の順にね」


言われなくてもわかってるようるさいな。担任の声にそう思いながら先頭へと急いだ。一番前が遅いとみんな並びづらいから、急がなくちゃ。しかし、やっぱり二年でもわたしより小さい人は現れなかったか…。

身長は150に満たず、昔から万年背の順は一番前な女。それがわたし。そりゃ昔はかわいいかわいいってもてはやされたさ。容姿が普通でもミニチュアはそれだけでいじらしいのだから。でもさすがにこの歳でこの身長はよろしくないと思う。かわいいとかそうじゃないとかよりもとい、不便だ。まだ女だからよかったものの…そういえば、男子の一番前はどこに?


「西谷!お前一番前だろ早く並べー!」
「んお…うわ、すんません!!」


机に突っ伏しておそらく寝ていたと思われるのは、小柄な男子。…あ、この人知ってる。教頭どついて停学くらってた人だ。確かバレー部の。そっか、今日から停学明けたんだ。髪の毛真ん中だけ金髪だし、不良、とかかな。怖いな。


「…うわ、ちっさ」


横に並んだその人…西谷は、遠目に見るよりずっと小さくて思わず声が出た。気付かれたようで釣りあがった眉と猫目がわたしを見つめた。や、やばい…。


「い、いやあの…」
「お前も小せえな!俺より十センチぐらいチビだろ!」


わははと笑ってお互い頑張ろうと背中を強く叩かれた。い、痛い。けれど、その西谷の笑顔がひどくキラキラと輝いて見えたのは、春の木漏れ日のせいだろうか。



(あれ、なんか、顔が熱いぞ)


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