「好きだよ、旭」
「うん、俺も…泰葉が好き」
抱き締めあって何度か触れるくらいの短いキスをして。次第に長くなって、互いに舌を絡ませて息遣いも荒くなる。旭はわたしの、わたしは旭の髪を括ったヘアゴムを解いて、旭のにおいがするベッドに倒れこんだ。
「…ぷ、ふふっ…」
「ん、何?泰葉…」
「ぶはっ!ちょ、旭、髪の毛くすぐったいよ」
顔から胸元に流れていった長い髪に思わず声を上げると、旭は慌てて体を起こして謝罪の言葉を述べた。
「…髪、伸びたね」
「か、かっこいいかな?」
「うーん、どうだろ」
「えええ…そんなぁ…」
あからさまに落ち込む旭がおかしくて笑うと、益々眉を下げてしまう。どうして長髪に髭でワイルドになれると思ってるんだろう、なんて言ったらもっと落ち込んじゃうかな。
「旭は髪が長くても短くても旭でしょ、全部かっこいいから全部好きだよ」
「か、かっこよくないよ、かっこよくない…!」
せっかく褒めたのに、今度は顔を赤くして項垂れるから、一向に事が進まない。仕様がないから思いきりやらしくキスをして誘えば、さっきの弱々しい表情が嘘みたいに男の人の顔になって。
「(ほら、やっぱりかっこいい)」
そんなことを思って身を委ねた。
(旭はロールキャベツ男子だよね)
(? ロールキャベツ好きだよ)
(天然かわいいよ)
(泰葉の方が、か、かわいい、よ…?)
(ふふ、ありがとう)