私はいつも橋から河川敷を見ていた。正確には河川敷でサッカーの練習を続けている男の子だ。一応私の彼氏なわけなんだけど、此処最近はずっと練習を続けている。一生懸命な姿はとてもかっこよかった。少し休憩に入るのかベンチに腰掛け水分補給をしている彼にゆっくり近づくと後ろから声を掛けた。


「カゲトくんは練習熱心だねー」
「…なまえ?いつから来てたんだ」
「ついさっきだよ」


そう言いながらカゲトくんの隣の空いたスペースに座った。泥まみれになっているカゲトくんは本当に一生懸命練習しているんだってことがよく分かる。私は持ってきたスポーツタオルを彼に差し出した。


「ほら!これ使って」
「ああ、助かる」
「まだ練習するの?」
「もう少し。まだ雷門イレブンに匹敵するくらいのパワーがないから」


タオルで顔を拭きながら言うカゲトくんはダークトルネードというすごいシュート技を練習している。それを少しでも完璧に近づけようと努力しているというわけだ!泥まみれになってもまだ頑張ろうとしているカゲトくんがかっこよくて、私はそんな彼の彼女であることが嬉しくてたまらなくなった。


「じゃあ私、ここで見てる」
「いいのか?長くなると思うが」
「うん、大丈夫!ちゃんと応援してるよ」


私はサッカーできないし、運動自体そう得意じゃない。そんな私にできることといえば一緒になって練習に付き合うこと。応援することくらいだ。カゲトくんはタオルから顔を離して小さく笑みを浮かべる。私も釣られて笑みを浮かべた。


「ありがとう、なまえ」


カゲトくんは十分雷門イレブンのみんなと同じくらい努力してると思う。だから後はもう少しだと思うんだ。早く彼が力をつけて、納得のいくプレーができるようになればいいな。そう思いながら私はすうっと息を吸い込んで、大きな声でこう言った。


「頑張れー!カゲトくん!」



リン様(闇野カゲト/甘)



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