「なまえ、好きだよ」


唐突にそんなことを言われて思わず肩が跳ね上がった。な、な、なに?急になに?目をぱちくりさせているとヒロトは楽しそうにくすくすと笑った。


「わ、笑わなくてもっ…」
「ごめん、なまえの反応が面白いから」
「だって急にヒロトが、す、す、好きだなんて…」
「うん、急に言いたくなったから」


ヒロトはそう言って口角を上げる。切れ長の綺麗な色をした目が私を捉えて、私は目を背けることができなかった。


「好きだよ」
「あ、う…」
「なまえは本当に恥ずかしがりやさんだね」
「うるさい!ヒロトがさらっと言うのが悪いの!」
「俺のせい?」
「そう!ヒロトのせい!」


そうなんだ。そう言ってまた彼は笑う。ああ、もう、ヒロトには適う気がしない。赤くなる頬を少しでも抑えようと両手で覆うとその上からヒロトの手が重ねられた。私より少し冷たい彼の手。視線を上げるとヒロトはまた優しい声で「なまえ」と私の声を呼ぶ。


「好き」
「っ…わ、たしも…」
「なに?ちゃんと言ってくれなきゃ分からないなあ」
「う…」


嘘だ、きっと彼には全て分かっている。でも言わせたいんだろう、ヒロトの視線がそう告げていた。一度小さく深呼吸をして、私はもう一度口を開く。


「ひ、ヒロト」
「なに?」
「わ、わたしも、ヒロトのことが、す…好き!」
「うん、ありがとう、なまえ」


するとヒロトはとても嬉しそうな表情を浮かべて笑った。その笑顔が素敵すぎて、どきどきと高鳴る胸を収める方法なんて私は知らなくて、ああ、もう、なんでこんなにかっこいいんだ、こいつは。そう思いながらこれ以上真っ赤な顔を見られたくなくて、私はぎゅうっとヒロトに抱きついた。


「あれ?珍しいね、すごく大胆」
「う、うう、うるさい!」


また最初のようにくすくす笑いながら私の背に腕を回してくれるヒロトが、意地悪なところも含めて、やっぱり好きなんだなあと思うわけで。私はもう一度その気持ちを伝えようと勇気を振り絞り、大きく息を吸い込んだ。



title/Aコース
100217/終わりの見えない恋をしよう

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