※企画提出作品・名前変換無し





「、ガゼルくん」


ああ、見つけた、私の王子様!
今日も昨日もその前の日も、毎日だって見てるような気がする私の愛しい人、ガゼルくん。…でも、残念ながらガゼルくんはまだ私の恋人じゃない。私が一方的に片想いをして、好きで好きで堪らなくなって、それからというもの私は毎日のように彼に熱烈なアタックをし続けているのだ。ああ、勿論今日も朝から何度も繰り返してる!でもふと気付けば彼は居なくなってて、返事もなくて、私一人ぽつんとそこに残されてて…。今日だけじゃなくて、それこそ昨日もその前の日も!だから、今日こそはちゃんとガゼルくんに返事、もらうんだ。
慌てて駆けていって、彼の目の前に立つ。と、彼はあからさまに不快そうな表情を浮かべて冷たい視線を私に向けた(こ、怖いとか、そんなこと言うもんか!)。


「ガゼルくん、好き!」


その気迫に負けないように満面の笑みを浮かべて、ありったけの私の気持ちを口にする
けれど彼は小さく息を吐いて、すぐに私に背を向けた。え、何これ、また何も言ってもらえない感じ?
――だ、ダメダメ!今回こそはって、決めてるんだから…!
私は今回初めて、後ろから彼の腕を掴んだ。途端、さっきと変わらない冷たい視線のままガゼルが振り向く。…あ、やっぱり、ちょっと怖い、かも。思わず視線を逸らして、たどたどしく言葉を紡ぐ。


「…なに」
「あ、その、何って言うか…っ今回こそは返事、聞きたいなって…思っ、て…」


言い切ったところでぱっと顔をあげた。するとそこには、今まで以上に眉間に皺を寄せるガゼルくんがいた。その冷たい視線は確実に私に向けられていて、ああ、こんな顔、初めて、だ。
私はどうしようもなくて、焦って言葉が出なくなって、なんだか悲しくなって、しゅんと項垂れるようにしてガゼルくんの手を離した。


「…ごめん、なさい」
「え、」
「が、ガゼルくんのこと考えずに、あの、勝手にこんなことばかり、言って」


自然と俯いてしまうとそれからは顔をあげられなくなってしまった。彼にそんな表情をさせるほど自分は鬱陶しかったのだろうか、そう考えると胸が苦しくなった。自分は今まで、どうして空回っていたんだろう?
目頭が、熱い。
「ごめんね、もう言わないから、お、追いかけたりもしないから、だから、お願い」


嫌いにならないで。
そう言うと同時、涙が溢れてきた。ダメだ、このままじゃまたガゼルくんを不快な気持ちにさせちゃう。止まれ、涙。
と、頭上から降ってきた声にそんな私の命令は意味をなくしてしまう。


「…嫌いだなんて、一言も言ってないと、思うんだけど」
「え?」


なに、その意味深な言葉は。
きょとんとした表情を浮かべて私はガゼルくんを見上げた。するとその表情はさっきみたいな冷たい色を灯した様子じゃなく、何処か困ったような表情で。


「ただあまりにも真っ直ぐに言ってくるから、どうしたらいいか分からないだけ」


ガゼルくんの冷たい手がそのまま私の頬に触れて、残った涙を拭ってくれる。その頬が何処となく赤く染まっている気がして、じっと見てたら顔を逸らされて。え、これってもしかして、一方通行なんかじゃ、




本日何度目かの告白劇


「ガゼルくん、」
「ん」
「だい、すき!」
「…もう言わなくていい、から」


(D.D.D.様へ提出済)

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